何から手をつければいいのか、わからない
ジャズをやってみたい。
アドリブを弾いてみたい。
そう思って調べ始めると、
すぐに途方に暮れます。
スケール。
コードトーン。
ツーファイブ。
ガイドトーン。
どれも大事そうに見えるけれど、
どれから手をつければいいのかが
わからない。
今日は、その順番の話をします。
感覚だけでもなく、理論からでもない
アドリブについては、
正反対の二つの説を
よく聞きます。
ひとつは、
感性の世界だから
理屈は要らないという説。
もうひとつは、
まず理論を固めなければ
始まらないという説。
どちらも、
半分だけ当たっています。
アドリブは感覚だけでは
身につきません。
ちゃんと段階があります。
でも、理論書の順番通りに
進めるのも違います。
大切なのは、
何を先にやり、
何を後に回すかです。
足りないのは知識ではなく、順序
今は、情報がいくらでも
手に入ります。
それぞれの項目についての説明は、
調べればすぐ出てきます。
足りていないのは、
それらをどの順番で
積み上げるのかという地図です。
部品はそろっているのに、
組み立て図がない状態。
ここでは、大まかに
四つの段階に分けてお話しします。
第一段階。曲を、歌えるまで耳で覚える
最初にやることは、
スケールでもコードでもありません。
やろうとしている曲を、
耳で覚えることです。
目安は、
楽譜を見ずに
メロディを歌えること。
地味に思えるかもしれませんが、
ここが土台になります。
アドリブとは、
その曲の上で音を選ぶ行為です。
曲そのものが体に入っていなければ、
どこで何をしているのかが
わかりません。
第二段階。コードの響きを、耳と結びつける
次が、コードです。
ただし、名前を覚えることでは
ありません。
鳴らして、聴いて、
その響きを体に入れることです。
明るい響き。
切ない響き。
次へ進みたくなる響き。
理屈より先に、
耳が反応するようにしておく。
この段階を踏んでおくと、
あとから理論を学んだときに、
言葉と実感が
すっと結びつきます。
第三段階。借りたフレーズを、置いてみる
ここで、ようやく
音を出し始めます。
とはいえ、いきなり
自分でつくろうとしなくて
構いません。
好きな演奏から
短いフレーズを拝借して、
そのまま置いてみてください。
二小節でも十分です。
借り物でいいのかと
思うかもしれませんが、
言葉を覚えるときも
私たちは同じことをしました。
誰かの言い回しを真似して、
そこから自分の話し方が
できていきました。
第四段階。自分で音を選び始める
そして最後に、
自分で選ぶ段階が来ます。
借りたフレーズを、
少しだけ変えてみる。
途中から違う方向へ
行ってみる。
ここまで来ると、
理論が役に立ち始めます。
「なぜこの音は
心地よかったのか」
という疑問が、
自分の中から出てくるからです。
問いが生まれたあとの理論は、
暗記ではなく
答え合わせになります。
だから、理論は最後ではなく、
この段階から
合流してくるのが自然です。
段を飛ばすと、必ず戻ってくる
この順序を守らないと、
どうなるか。
たとえば、曲を覚える前に
スケールから始めると、
指は動くのに
音楽になりません。
コードの響きを知らないまま
フレーズだけ覚えると、
どこで使えばいいのかが
わかりません。
そして結局、
飛ばした段のところまで
戻ることになります。
一段ずつ上がるのは、
遅いことではありません。
戻らなくていい分だけ、
結果的に速いのです。
あなたが今、どの段にいるか
ただ、正直に言えば、
自分が今どの段にいるのかは、
自分では判断しにくいものです。
次の段へ進んでいいのか。
それとも、一段下が
まだ固まっていないのか。
ここを見誤ると、
ずっと足踏みしてしまいます。
「今はここができているから、
次はこれをやりましょう」
そう示してくれる人がいるだけで、
迷う時間がなくなります。
サヴァサヴァでは、
その方が今どの段にいるかを見て、
次の一段だけをお渡しします。
アドリブへの階段を、
ここから一段ずつ
上がっていきませんか。
Music Space サヴァサヴァ
野口 尚宏

