「音」は消えても「想い」は熟成する。音楽が一生モノである理由

穏やかな表情で音楽を聴く老紳士と、胸に灯る熟成された想いの光:音楽の深さと人生

テレビをつければ、ルックスの良いアイドルや俳優さんが輝いています。
若く瑞々しい声で歌うシンガーの姿は、確かに魅力的で、
私たちの心を浮き立たせてくれます。
そのキラキラとした瞬間には、否定しようのない価値があります。

しかし、どんなに美しい人も、私たちと同じように平等に歳を取ります。
永遠に若くあることは、誰にもできません。
では、その「輝き」が失われたら、
価値もなくなってしまうのでしょうか?

私は、音楽の本質はそこにはないと思っています。

物理現象としての儚さ

ピアノの鍵盤を叩くと、ポーンと音が鳴ります。
でも、その音は空気の振動ですから、
数秒もすれば減衰し、完全に消え去ります。
物理的に見れば、音楽とは「一瞬で消えてなくなるもの」の連続です。

手に取って触れることも、
金庫にしまっておくこともできません。

心の中で起きる「奇跡」

でも、不思議だと思いませんか?
耳元では一瞬で消え去ったはずの音が、
誰かの心に深く突き刺さり、
その人の人生を左右してしまうことがあるのです。

辛い時に聴いたあのフレーズ、
恋をした時に流れていたあのメロディ。
物理的な音はもう鳴っていないのに、
その時受け取った「想い」や「震え」は、
何十年経っても鮮明に心に残り続けます。

色褪せるのではなく、深まる

私が音楽の最も素晴らしいと思う点、
それは「思い出が熟成(エイジング)する」ということです。

若い頃に聴いて感動した曲を、大人になってから聴き直すと、
また違った味わいを感じることがあります。
それは、その曲自体が変わったのではなく、
あなたが経験を重ね、人生の酸いも甘いも噛み分けたことで、
受け止める心の器が深くなったからです。

ワインが樽の中で静かに熟成されるように、
心に残った音楽の記憶も、あなたの人生と共に時間をかけて、
より芳醇で深いものへと変化していきます。

シワの数だけ、音は優しくなる

ジャズの世界では、おじいちゃんになったミュージシャンが、
枯れた音でポツリポツリと弾くバラードに、
若手には絶対に出せない色気が宿ることがあります。

それは、彼らが「音」を弾いているのではなく、
積み重ねてきた「人生」や「熟成された想い」を音に乗せているからでしょう。

音は消え去ります。
でも、消え去った後に残る「余韻」と、そこで育まれる「想い」こそが、
音楽の正体であり、深さなのかもしれません。

Music Space サヴァサヴァでは、今の瞬間の技術だけでなく、
10年後、20年後のあなたの心の中で、
より美しく響くような音楽との付き合い方を提案したいと思っています。

一緒に、人生をかけて「音を熟成させる」楽しみを味わってみませんか?

野口 尚宏