音楽に完成はない。ゴールがないから一生続けられる。

暖かな光の部屋で、女性が穏やかにピアノを弾き、そこから伸びる黄金の道が終点なく遠くの光へ溶けていく水彩アニメ風イラスト。手前の道沿いには小さな灯りが点在し、下部中央に「完成しないから、一生続けられる。」の白いテキスト。

いつになったら、できるようになるのだろう

音楽を続けていると、
ふとこう思う日があります。

「いつになったら、
できるようになるのだろう」

始めた頃は、
目の前に課題がはっきりありました。
この曲を弾けるように。
このコードを覚えよう。

でも、ある程度続けていくと、
その先が見えなくなってきます。

どこまで行けば、
この道は終わるのか。
ゴールはどこにあるのか。

それが見えないまま歩き続けるのは、
思っている以上に疲れることです。

音楽には、ゴールテープがない

先に、身も蓋もない事実を
お伝えします。

音楽に、完成はありません。

試験なら、合格すれば終わります。
資格なら、取得すれば終わります。
仕事の案件も、納品すれば終わる。

私たちは、そういう
終わりのある活動に
慣れすぎています。

でも音楽には、
「これで完成しました」という線が
どこにも引かれていません。

何十年も弾いてきた演奏家が、
今でも「まだまだです」と言います。

謙遜ではありません。
本当に、終わりがないのです。

なぜ、いつまでも完成しないのか

理由は、案外シンプルです。

あなた自身が、
変わり続けているからです。

去年のあなたと、今年のあなたは
同じ人ではありません。

経験したこと、
感じたこと、
失ったもの、
手に入れたもの。

それらが積み重なって、
あなたの中の音楽も
形を変えていきます。

演奏する人が変わり続ける以上、
演奏も変わり続けます。

目指すものが止まっていないのだから、
たどり着けるはずがありません。

これは、あなたが
進んでいない証拠ではなく、
あなたが生きている証拠です。

完成しないから、飽きない

ここで、見方を変えてみます。

完成するものは、
完成した瞬間に終わります。

クリアしたゲームは、
棚に戻されます。
取った資格は、
やがて引き出しの中です。

終わりがあるものは、
終わったあとに
続きがありません。

音楽は違います。

完成しないから、
八十歳になっても
新しい発見があります。

五十年弾いた曲に、
今日また新しい響きを
見つけることができる。

「終わらない」というのは、
欠点ではありません。
一生付き合える理由なのです。

ゴールの代わりに、手応えを置く

とはいえ、
「終わりがないから頑張れ」では、
あまりに酷な話です。

そこで、実際的な提案をします。

ゴールが機能しないなら、
別の達成感を考えればいいのです。

遠くの大きな目標ではなく、
すぐそばの小さな手応えを
拾っていく。

今日、あの箇所が
前より楽に弾けた。
この和音を、きれいだと思えた。
いつもより長く
弾いていたくなった。

そんな小さなことで構いません。

大切なのは、
「どこまで行けたか」ではなく、
「今日、何かが動いたか」です。

この視点に切り替えると、
毎日に達成感が生まれます。

続ける理由を、二つ以上持っておく

もう一つ、大事なことがあります。

モチベーションが尽きるとき、
たいてい続ける理由が
一つしかありません。

「上手くなるため」

それだけだと、
上達が止まって見えた瞬間に、
理由も一緒に消えてしまいます。

でも、理由が複数あれば、
一つ枯れても
他が支えてくれます。

音を出すと気分がいいから。
誰かと合わせるのが楽しいから。
この曲が好きだから。
週に一度、
音楽だけの時間が欲しいから。

どれも立派な理由です。

上達だけを理由にしないほうが、
結果的に長く続き、
結果的に上達します。

道は、歩いていること自体に意味がある

ゴールが見えないと、
私たちは不安になります。

でも、考えてみてください。

散歩に、ゴールはありません。
それでも、歩くことそのものが
気持ちいいものです。

音楽も、同じです。

どこかに到達するために
音を出しているのではなく、
音を出している時間そのものが
すでに価値なのです。

そう思えたとき、
ゴールが見えないことは
不安ではなくなります。

その手応えを、一緒に見つけませんか

ただ、正直に言えば、
小さな手応えは
一人だと見落としがちです。

自分の変化は、
自分では一番見えにくいからです。

「半年前と比べて、
ここが変わりましたよ」
そう外から言ってもらえるだけで、
止まって見えていた道が
ちゃんと前に進んでいたと
わかることがあります。

サヴァサヴァは、
完成を目指す場所ではありません。

終わりのない道を、
心地よく歩き続けるための場所です。

その道を、
ここから一緒に歩いていきませんか。

Music Space サヴァサヴァ
   野口 尚宏

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