セッションで気づく、自分の音楽

暖かな光の部屋で、大人の女性が一台のアップライトピアノを弾き、講師や他の演奏者と小さなセッションをしながら自分の課題に気づいていく水彩アニメ風イラスト。周囲には人生の責任や疲れを思わせる淡い抽象的な影があり、それを黄金の音の糸がやさしく包み込んでいる。下部中央に「音楽は、人生の中で育っていく。」という白い文字が入っている。

教え込まれるだけでは、見えにくいことがある

レッスンというと、
先生が教え、
生徒さんがそれを覚える場所だと思われることがあります。

もちろん、基礎を伝えることは大切です。

コードの仕組み。
リズムの感じ方。
発声やタッチの整え方。
曲の構造。
アドリブの考え方。

そうしたことを、
丁寧に学ぶ時間は必要です。

ただ、音楽は知識を受け取るだけで、
すべてが身につくものではありません。

実際に音を出してみる。

誰かと合わせてみる。

思ったようにいかない場面に出会ってみる。

その中で初めて、
自分に何が必要なのかが見えてくることがあります。

教え込まれるだけではなく、
自分で気づく時間。

そこに、音楽が本当に育つ大切な入口があるのではないでしょうか。

セッションは、課題に気づくための実践の場

セッションというと、
上手な人が自由に演奏する場所のように感じる方もいるかもしれません。

でも、サヴァサヴァで大切にしているセッションは、
できる人だけが見せる場ではありません。

今の自分の音を、
実際の音楽の中で確かめる場所です。

一人で練習しているときには弾けていたのに、
人と合わせると急に分からなくなる。

コードは覚えたはずなのに、
ベースやドラムが入ると現在地を見失う。

歌えると思っていた曲が、
伴奏と合わせると呼吸の位置が変わる。

そういうことは、
決して失敗ではありません。

むしろ、そこに次の課題があります。

何を聴けていなかったのか。

どこで焦ったのか。

どの音を頼りにすれば戻ってこられるのか。

実践の中で見えた課題は、
机の上の知識よりも、
ずっと自分の音楽に近いものになることがあります。

主体的に向き合うと、音楽は自分のものになっていく

先生に言われたから練習する。

注意されたところを直す。

それも、学びの一つです。

でも、セッションの中で自分の課題に気づくと、
練習の意味が少し変わってきます。

次はここで迷わないようにしたい。

このコードの流れを、
もう少し耳で分かるようになりたい。

伴奏を聴きながら、
もっと自然に歌えるようになりたい。

自分の中から、
そういう必要が生まれてくることがあります。

そのとき、音楽は、
誰かに与えられた課題ではなくなります。

自分で向き合うものになっていきます。

主体的に音楽と向き合うというのは、
何でも一人でできるようになることではありません。

自分に今何が必要なのかを、
音の中で少しずつ感じ取れるようになることなのだと思います。

練習できない時期にも、音楽は消えない

人生には、
思うように練習できない時期があります。

仕事が忙しいとき。

家族のことに心を使うとき。

介護や生活の現実に向き合わなければならないとき。

自分の時間が思うように取れず、
楽器に向かえない日が続くこともあります。

そんなとき、
「練習できていない自分はだめだ」と感じてしまうことがあるかもしれません。

でも、音楽は、
毎日十分に練習できる人だけのものではありません。

むしろ、人生の重さを抱えているからこそ、
音が深く響くこともあります。

疲れている日には、
疲れている日の音があります。

迷っている日には、
迷っているからこそ出る間があります。

誰かの世話をしながら生きている人には、
人の呼吸を待つ力が育っていることもあります。

練習量だけでは測れないものが、
音楽の中には確かにあるのではないでしょうか。

人生に寄り添うレッスンでありたい

音楽のレッスンは、
技術だけを切り離して扱うこともできます。

ここができていない。
ここを直しましょう。
次までにこれを練習してきてください。

それも必要な場面はあります。

ただ、生徒さんには、
それぞれの暮らしがあります。

抱えている事情があります。

今、音楽にどれくらい力を注げるのかも、
時期によって変わります。

その人の人生を見ずに、
技術だけを求めても、
音楽がその人の支えにはなりにくいかもしれません。

だからこそ、
その人が今どんな場所に立っているのかを、
できるだけ丁寧に見たいと思っています。

練習できなかった理由を、
責めるためではなく、
音楽との距離を測り直すために聴く。

今できる形で、
音楽に戻ってこられる道を一緒に探す。

そういうレッスンでありたいと思います。

音楽が人生の支えになるとき

音楽は、
いつも明るい気分のときだけに必要なものではありません。

むしろ、心が少し重いとき。

誰にも言えない疲れを抱えているとき。

自分のことより、
誰かのために動かなければならない日々が続くとき。

そんなときに、
音楽が小さな居場所になることがあります。

うまく弾けたから救われるのではありません。

完璧に歌えたから意味があるのでもありません。

音を出す時間だけは、
自分の呼吸に戻れる。

誰かと合わせることで、
一人で抱えていたものが少し軽くなる。

セッションの中で、
自分の音が誰かに支えられ、
また誰かを支える。

その体験が、
日々を生きる力につながることがあります。

音楽は、
人生から離れた趣味ではなく、
人生の中で働く支えにもなり得るのだと思います。

実践の場があるから、音楽は深くなる

個人レッスンで学んだことは、
セッションの中で試すことができます。

セッションで気づいた課題は、
また個人レッスンで整理できます。

この往復があることで、
音楽は少しずつ深くなっていきます。

知識だけでもなく、
感覚だけでもなく。

教わるだけでもなく、
一人で抱えるだけでもなく。

学び、試し、気づき、
また学び直す。

その循環の中で、
生徒さん自身の音楽が育っていきます。

サヴァサヴァがセッションを大切にしているのは、
単に発表の場を作るためではありません。

生徒さんが自分の音を聴き、
自分の課題に気づき、
主体的に音楽と向き合えるようになるためです。

その気づきは、
技術だけでなく、
その人の生き方にも静かにつながっていくのではないでしょうか。

音楽を、人生の中で育てていく

音楽は、
人生が整ってから始めるものではありません。

忙しい日々の中で。

家族のことに心を使う時期の中で。

思うように練習できないもどかしさの中で。

それでも、少しずつ続けていくものなのだと思います。

レッスンは、
技術を教えるだけの時間ではありません。

セッションは、
上手さを見せるだけの場でもありません。

その人が今の人生の中で、
どう音楽と関わっていくのか。

その問いを、
音を通して一緒に考えていく場所でもあります。

もし、日々の現実の中で音楽から少し離れそうになっているなら、
レッスンやセッションの中で、
今のあなたに合った音楽との向き合い方を一緒に探してみませんか。

人生の中で音楽を続けること。

その歩みを、
焦らず、責めず、
一緒に育てていけたらと思います。

Music Space サヴァサヴァ
  野口 尚宏

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