音楽は、少しずつ深くしていけばいい

暖かな光の部屋で、大人の女性が一台のアップライトピアノの前に座り、簡単な音楽の仕組みを確かめながら弾いている水彩アニメ風イラスト。鍵盤の上では一つの黄金の音が二つの音、和音、短いメロディ、少し豊かなコード進行へと段階的に広がっている。下部中央に「小さな仕組みから、音楽は深くなる。」という白い文字が入っている。

音楽は、本当に最初から難しいものなのでしょうか

音楽は難しい。

そう感じている方は、
少なくないかもしれません。

楽譜が読めない。

コードが分からない。

リズムが難しい。

ジャズになると、
さらに複雑に感じる。

そう思うと、
音楽の入口に立つ前から、
少し身構えてしまうことがあります。

でも、音楽は本来、
最初からそれほど難しいものではないのだと思います。

難しく感じるのは、
いきなり複雑な形から入ろうとするからかもしれません。

音楽には仕組みがあります。

その仕組みを少しずつ知っていくと、
簡単なものから始め、
少しずつ深い音楽へ発展させていくことができます。

いきなり複雑な音楽をしようとすると、難しくなる

ジャズやポピュラー音楽には、
複雑に聞こえる演奏がたくさんあります。

細かく動くメロディ。

おしゃれなコード。

自由に聞こえるアドリブ。

独特のリズム。

そういう音楽を聴くと、
自分には無理かもしれないと感じることがあります。

けれど、複雑に聞こえる音楽も、
小さな要素の積み重ねでできています。

一つの音。

二つの音の距離。

三つの音でできる和音。

短いリズム。

シンプルなコード進行。

そうした小さな部品が、
少しずつ組み合わさって、
豊かな音楽になっていきます。

難しい音楽を、
最初から一つの大きな塊として受け取ると、
途方もなく感じます。

でも、仕組みに分けて見ていくと、
音楽は少し近くなるのではないでしょうか。

仕組みを知ると、音楽は分解して見える

音楽の仕組みを知るというのは、
難しい理論用語をたくさん覚えることだけではありません。

今鳴っている音が、
どんな役割を持っているのか。

このコードは、
どこへ向かおうとしているのか。

このメロディは、
なぜ自然に聞こえるのか。

このリズムは、
どこに重心があるのか。

そういうことを、
少しずつ確かめていくことです。

仕組みが見えると、
音楽はただの感覚だけではなくなります。

なぜそう聞こえるのか。

どうすれば少し変えられるのか。

どこを簡単にすれば、
今の自分にも扱えるのか。

そう考えられるようになります。

サヴァサヴァで大切にしている「論理という地図」は、
音楽を難しくするためのものではありません。

今いる場所を知り、
次の一歩を見つけるためのものです。

簡単なものから始めても、音楽は浅くならない

簡単なものから始めるというと、
どこか物足りなく感じる方もいるかもしれません。

もっと難しいことをしないと、
本格的ではない。

複雑なコードを使わないと、
ジャズらしくない。

たくさん音を弾かないと、
上達している感じがしない。

そう思うこともあるかもしれません。

でも、簡単なものは、
浅いものとは限りません。

シンプルなコード進行でも、
音の置き方によって表情は変わります。

短いメロディでも、
リズムや間によって、
音楽らしく聞こえます。

少ない音でも、
響きをよく聴けば、
深い表現につながることがあります。

大切なのは、
簡単なものを雑に扱わないことです。

シンプルな材料を、
丁寧に聴き、
丁寧に弾き、
少しずつ発展させていく。

そこから、音楽の深さは育っていきます。

一つの音から、和音へ。和音から、曲の流れへ

音楽は、
小さなところから広げていくことができます。

まず、一つの音を聴く。

その音が明るく感じるのか、
落ち着いて感じるのか、
少し緊張して感じるのかを味わってみる。

次に、二つの音の距離を聴く。

三つの音を重ねて、
和音にしてみる。

その和音を、
次の和音へ動かしてみる。

すると、そこに小さなコード進行が生まれます。

コード進行ができると、
その上にメロディを置くことができます。

メロディができると、
リズムを変えたり、
伴奏を工夫したり、
少しだけアドリブを入れたりすることができます。

このように、音楽は、
一つの音から少しずつ広げていけるものです。

いきなり完成された複雑な音楽を目指さなくても、
小さな仕組みをつなげていけば、
音楽は自然に育っていきます。

少し分かると、次の難しさが見えてくる

音楽の面白いところは、
少し分かると、
次の難しさが見えてくるところです。

最初は、
C、F、Gだけでも曲が弾けることに驚くかもしれません。

次に、
AmやDmを加えると、
少し切ない響きが出ることに気づくかもしれません。

さらに、
7thコードやテンションを知ると、
同じ曲の響きが少し大人っぽく変わることがあります。

最初からすべてを理解しようとすると、
難しくなります。

でも、今分かることを土台にして、
次の一つを足していくなら、
音楽は少しずつ広がっていきます。

簡単なものから、
少しだけ難しいものへ。

少し難しいものから、
さらに深いものへ。

その段階を踏むことで、
難しさは怖いものではなく、
次に進むための扉になっていくのではないでしょうか。

仕組みを知ると、自分で発展させられる

音楽の仕組みを知ると、
ただ言われた通りに弾くだけではなく、
自分で発展させることができます。

このコード進行を、
少し違う響きにしてみる。

このメロディを、
別のリズムで歌ってみる。

伴奏の音を減らして、
余白を作ってみる。

短いフレーズを、
別のコードの上で試してみる。

そういう工夫ができるようになります。

これは、難しいことをたくさん知っているからできる、
というよりも、
基本の仕組みが見えているからできることです。

音楽は、
複雑なものを丸ごと暗記するだけでは、
自分のものになりにくいことがあります。

でも、仕組みが分かると、
簡単な材料から、
自分で音楽を組み立てていけます。

そこに、演奏やアドリブや作曲の楽しさがあるのだと思います。

音楽を難しくしているのは、順番かもしれない

音楽が難しく感じるとき、
才能がないからだと思ってしまうことがあります。

耳が悪いのかもしれない。

リズム感がないのかもしれない。

自分にはジャズは向いていないのかもしれない。

そう考えてしまうこともあるかもしれません。

でも、もしかすると、
難しいのは音楽そのものではなく、
入る順番なのかもしれません。

まだ一つの音を十分に聴けていないのに、
複雑なコードを覚えようとする。

まだシンプルなリズムに乗れていないのに、
難しいアドリブを弾こうとする。

まだ短いフレーズの意味が分かっていないのに、
長いフレーズを丸暗記しようとする。

そうすると、
音楽は急に遠くなります。

順番を整えるだけで、
見え方が変わることがあります。

まず簡単なものを理解する。

それを何度も聴き、
弾き、
身体に入れる。

そこから一つだけ要素を足してみる。

その繰り返しで、
音楽は少しずつ深くなっていきます。

簡単な入口から、深い音楽へ

サヴァサヴァでは、
音楽を難しいものとして遠くに置きたいわけではありません。

けれど、音楽の深さを浅く済ませたいわけでもありません。

入口はやさしく、音楽は深く。

そのためには、
音楽の仕組みを一つずつ確かめることが大切だと考えています。

簡単なコード。

短いメロディ。

分かりやすいリズム。

小さなフレーズ。

そこから始めても、
音楽は十分に育っていきます。

そして、仕組みが見えてくると、
少しずつ複雑な音楽にも向かえるようになります。

もし、音楽は難しそうだと感じているなら、
レッスンやセッションの中で、
まずは小さな仕組みを一緒に確かめてみませんか。

簡単なものを丁寧に扱いながら、
少しずつ深い音楽へ進んでいく。

その歩みを、
一緒に育てていけたらと思います。

Music Space サヴァサヴァ
  野口 尚宏

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