「誰もやっていない」は間違い? 本当のオリジナルは「起源」に還る旅

大地に深く根を張り、空へ枝を伸ばすピアノと演奏者:オリジナルとは起源を知ること

「もっとオリジナリティを出して」「人と同じじゃダメだ」。

音楽や創作の世界にいると、
そんな言葉にプレッシャーを感じることがあります。
まるで、この世の誰も見たことがない、
奇抜で新しいものを作り出さなければならないような強迫観念です。

でも、本当にそうでしょうか?
僕は最近、「オリジナル(Original)」という言葉の本当の意味について、よく考えます。

語源が教えてくれること

実は、「オリジナル」という言葉の語源は、
ラテン語の「Origo(オリゴ)」
これは「起源」「源泉」「始まり」を意味する言葉です。

つまり、本来の「オリジナル」とは、
「突拍子もない新しいもの」という意味ではなく、
「物事の始まり(起源)にしっかりと繋がっている状態」を指すのです。

自分だけの固有の表現を探そうとして、
過去や他者との繋がりを断ち切ってしまうのは、
実は「オリジナル」から最も遠い行為なのかもしれません。

巨人の肩の上に立つ

ジャズマンは歴史を演奏する

ジャズの世界でも同じです。
チャーリー・パーカーやビル・エヴァンスといった巨匠たちも、
決してゼロからあのスタイルを生み出したわけではありません。

彼らは、それ以前のブルースやクラシック、
そして先人たちの音楽を徹底的に研究し、
そのルーツを深く体の中に落とし込みました。
その太い根っこがあったからこそ、そこから彼ら独自の枝葉が伸び、
見たこともない花を咲かせることができたのです。

「模倣はオリジナリティの敵」と思われがちですが、
ルーツを辿るための模倣は、むしろオリジナリティへの最短ルートです。

自分がどこから来たのか

自分の好きな音楽、影響を受けた言葉、育った環境。
そうしたルーツ(起源)を丁寧に辿っていくと、
不思議なことに「自分はなぜ今、ピアノに向かっているのか」
という理由が見えてきます。

それは、「他人と違うこと」を必死に探す作業ではなく、
「自分という人間が、この歴史の流れの中で果たすべき役割」
に気づく作業に似ています。

迷ったら「源流」に戻ろう

もし、演奏や表現に迷いが生じたら、
無理に新しいものを足そうとせず、
一度立ち止まって後ろを振り返ってみてください。

「そもそも、なぜ音楽が好きだったんだっけ?」
「誰の音に憧れてここに来たんだっけ?」

その起源(オリジナル)に触れたとき、あなたが今やるべきこと、
あなたにしか出せない音が、自然と浮かび上がってくるはずです。

オリジナルとは、自分だけの孤立した城を建てることではありません。
偉大な歴史という大地に、深く深く根を張ることです。

Music Space サヴァサヴァでは、ただ流行りの曲を弾くだけでなく、
あなたの「好き」のルーツを一緒に探ることも大切にしています。
あなたの起源を知る旅、ピアノを通して始めてみませんか?

野口 尚宏