スケール練習だけでは、ジャズになれない
「家では弾けるのに、セッションに行くと弾けない」
「リズム感が悪いと言われるけれど、メトロノームとは合っているはずなのに…」。
もしあなたがそんな壁にぶつかっているなら、
それは指の運動不足ではありません。
「他者との関わり不足」が原因です。
ピアノだけのレッスンでジャズを学ぶのは、
部屋に一人で閉じこもって「会話の練習」をしているようなものだからです。
「弾く」ことより「待つ」ことを学ぶ
ベースやボーカルが教えてくれる「間」
ボーカルの伴奏や、ベーシストとのデュオを経験すると、
ピアノの役割が劇的に変わります。
主役は自分ではありません。
- ボーカルとの会話: 歌手が息継ぎをする瞬間に、そっと相槌を打つようにコードを置く。
- ベースとの会話: ベースが低い音でリズムを刻んでいる時、ピアノは邪魔をせず、高い音で彩りを添える。
アンサンブルで最も重要なのは、「いつ音を出すか」よりも
「いつ音を出さないか(待つか)」という感覚です。
この「生きた間(マ)」だけは、独学やピアノソロの練習では絶対に身につきません。
身体で感じる「タイミング」
耳ではなく、肌で合わせる
ジャズのグルーヴ(ノリ)は、
楽譜上の音符の位置とは微妙にズレたところにあります。
それは、隣で弾いているベーシストの身体の揺れや、
ドラムの空気の振動を肌で感じ取り、
「ここだ!」という一点で音を重ねることで生まれます。
このタイミングが合った瞬間の快感。
これを知って初めて、
あなたのピアノは「打鍵」から「演奏」へと進化するのです。
相手の音を聴いてこそ、音楽は成立する
もしジャズピアノに行き詰まりを感じているなら、
譜面を閉じて、誰かと音を出してみてください。
下手でも構いません。
「相手の音を聴く」という意識が芽生えた瞬間、
あなたのピアノは間違いなく、誰かの心に響く音に変わっています。
野口 尚宏

