アドリブは「何を弾くか」より「いつ弾くか」コードの音とタイミングから始める即興演奏。

温かみのある水彩画風のイラスト。スタジオでリラックスしてピアノを弾く人物。大量の複雑な音符ではなく、押さえた数個の鍵盤(シンプルなコード)から、美しく輝くリズムの波長(タイミングと休符の空間)が広がっている。「何を弾くか」よりも「いつ弾くか」が重要であるというアドリブの本質を表現している。画像下部には「何を弾くかより、いつ弾くか。」というテキストが書かれている。

ジャズピアノの醍醐味である「アドリブ(即興演奏)」
憧れのジャズピアニストのように、湧き出るようなフレーズを自由に弾きこなしたい!
と意気込んで練習を始める大人の方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、スケール(音階)を必死に暗記し、
いざ曲に合わせて弾こうとすると、指が止まってしまったり、
ただのスケールの上下運動になってしまったり……。

それは最初からいきなり「複雑で新しいフレーズ(何を弾くか)」を生み出そうと、
自分自身に高すぎるハードルを課してしまっているからです。

実は、素晴らしい即興演奏の土台を作るために、
最初から新しい音を探し回る必要はありません。
まずは視点をガラリと変えて、
「元々そこにある音」を「どのタイミングで弾くか」
に意識を向けてみましょう。

ジャズスタンダードには、
すでに「コード(和音)」という素晴らしい素材が用意されています。
まずは、その決められたコードの構成音だけを使ってみましょう。

例えば、「ド・ミ・ソ・シ」という4つの音。
これをただ同時に「ポーン」と弾くのではなく、
弾く「タイミング」を変えてみます。
「ター・タ・タ・ター」と軽快なリズムに乗せてみる。
あるいは、最初の2拍はあえて何も弾かずに「休符(お休み)」にして、
後半で短く「タッ」と弾いてみる。

使う音はまったく同じ「ド・ミ・ソ・シ」なのに、
リズムや長さ、休む場所を変えるだけで、
驚くほど多彩で、表情豊かな「アドリブフレーズ」に生まれ変わることに気づくはずです。
音楽において本当に大切なのは「何を弾くか」という音の選択以上に、
「どんなテンポで、どんなリズムで、どこで休むか」という時間のデザインなのです。

コードの音とタイミングを意識できるようになったら、
次は和音をバラバラにほぐして弾く
「アルペジオ(分散和音)」に挑戦してみましょう。

「ド・ミ・ソ・シ」を同時に弾くのではなく、
「ド、ソ、ミ…」と順番を変えて、
先ほどのリズムに乗せて弾いてみる。
すると、それはもう立派なメロディラインになります。
伴奏で使っているコードの音を、少しだけ形を変えて、リズミカルに並べ直すだけ。

実は、プロのピアニストが弾いている複雑に見えるアドリブも、
その骨組みを分解していくと、
こうした「コードの構成音のタイミングをずらしたアルペジオ」が
ベースになっていることが非常に多いのです。

岸和田のMusic Space サヴァサヴァでは、
アドリブを「音階の丸暗記」から教えることはありません。

まずは、たった3つや4つの音だけを使って、
それをどうリズミカルに配置するか。
どこで勇気を持って「休符」を入れるか。
そんな「いつ弾くか」という感覚を、遊び感覚で一緒に育てていきます。

「音を間違えるのが怖い」というプレッシャーを手放し、
すでにある音をリズムに乗せて遊ぶ楽しさ。
鍵盤の上で自由に音を並べ替える、
あなただけのアドリブの冒険をスタジオで始めてみませんか?

野口 尚宏