知識より素直さ。技術を超える「閃き」の正体

ピアノの前で「閃き」を得て笑顔になる男性講師:知識よりも素直な心がアイディアを生む

わからないことがあれば、
スマートフォン一つですぐに答えが見つかる時代です。
技術的な正解や膨大な知識は、もう私たちのポケットの中にあります。

だからこそ、今本当に価値があるのは、
「すでに知られている正解」をなぞることではありません。
その場、その瞬間にしか生まれないアイディアや、ふとした閃きです。
そして、その源泉となるのは、難しい理論ではなく、
もっとシンプルな「素直さ」だと私は思うのです。

上手い演奏より、面白い演奏を

ジャズピアノのレッスンをしていると、
「もっと指が速く動くようになりたい」
「複雑なコードを知りたい」
と焦る生徒さんによく出会います。
向上心は素晴らしいことです。
でも、技術はあくまで表現するための「道具」に過ぎません。

道具を磨くことに夢中になりすぎて、
「何を伝えたいか」というアイディアを忘れてしまっては本末転倒です。
たった一つの音でも、「あ、この音が好きだな」
という素直な閃きから弾かれた音は、
超絶技巧のフレーズよりも深く、人の心に届くことがあります。

音楽的視点:素直さがアンサンブルの鍵

「自分を良く見せたい」を捨てる

知識が増えてくると、
どうしても「ここは難しいコードを使って驚かせよう」
といった邪念(笑)が生まれることがあります。
これは、自分に対しても、聴いてくれる他人に対しても、
あまり素直な状態とは言えません。

自分に素直になるとは、
「今、自分は本当はどんな音を出したいのか」
という心の声に耳を澄ませること。
そして他人に素直になるとは、共演者の音を評価せず、
ありのまま受け入れて反応することです。

知識の鎧を脱いだ時に生まれるもの

「間違えたらどうしよう」という知識からくる不安を手放し、
「今の自分はこれしかできないけど、これが精一杯!」
と開き直れたとき。
その素直な心にこそ、神様からのギフトのような閃きが降りてきます。

ジャズの即興演奏は、知識をひけらかす場ではなく、
鎧を脱いで裸の心で対話する場です。
だからこそ、技術的に未熟であっても、
素直な心で奏でる人の演奏は、誰よりも魅力的に響くのです。

これからの時代、AIや機械がどれだけ賢くなっても、
この「ふとした瞬間の感情の揺れ」や
「人間らしい素直な反応」だけは真似できません。

知識を詰め込んで頭を固くするよりも、
心を開いて、自分にも他人にも素直でいること。
その柔らかさこそが、あなたの人生を豊かにし、
音楽をより楽しいものにしてくれるはずです。

技術や知識は、後からついてきます。
まずは、あなたの心が「楽しい」「心地よい」
と感じるその感覚に、正直になってみてください。

Music Space サヴァサヴァは、上手くなるための教室である以上に、
あなたが一番「素直な自分」に戻れる場所でありたいと願っています。

野口 尚宏