アドリブの基本は“コード”と“キー”の理解から

アドリブの基本であるコードとキーを示す楽譜とピアノ鍵盤のイメージ画像

🎶 アドリブは“理論”と“感覚”の融合

アドリブ(即興演奏)というと、
感覚的に音を並べているように見えるかもしれません。

しかし実際には、
多くのジャズミュージシャンは理論的な基盤の上で演奏しています。

特に重要なのが、
「コード(和音)」と「キー(調性)」の理解です。
この2つを整理しておくだけで、
アドリブの自由度と安定感が格段に上がります。


🎹 コードの構成音から考えるアドリブ

まず、コードを理解することが基本です。
どんなコードにも「構成音(コードトーン)」があります。

たとえば
Cメジャーなら → C・E・G
Am7なら → A・C・E・G
といった具合です。

この構成音を中心に音を作ることで、
「外れないアドリブ」ができます。

コードトーンは“その瞬間の音の重心”。
つまり、コードの響きを支える音です。
この意識があるだけで、アドリブの説得力がぐっと増します。


🎵 キー(調性)で全体の流れをつかむ

一方で、曲全体を通して考えるときには
「キー(調性)」を意識することが大切です。

キーとは、音楽の“中心となるスケール”のこと。
たとえば「Cメジャーの曲」であれば、
C・D・E・F・G・A・B の音で構成されます。

アドリブの中では、
このキーの中から音を選びながら、
コードトーンに一時的に寄り添ったり離れたりしていきます。

つまり──
“全体をキーでとらえながら、局所をコードで意識する”
これが、自然で流れるアドリブの鍵なのです。


🎷 理論に支えられた“感情的な自由”

理論というと難しく感じるかもしれませんが、
理論を知るほど感情の自由度が増すのが音楽の面白いところです。

「どこで何をしているか」が分かることで、
その場の響きや雰囲気に合わせて
音を“選ぶ力”が育ちます。

アドリブとは、
自由に演奏するための準備された自由なのです。


🎼コードとキーが自由を導く

アドリブは感性だけで成立するものではありません。
理論があるからこそ、感性が生きる。

コードトーンで足場を作り、
キーで景色を描く。

この2つを行き来しながら演奏することが、
音楽を“感情のままに”奏でるための最短ルートです。

野口 尚宏