🎶 コード進行は“ひとつずつ覚える”ではなく“流れ”として捉える
多くの人がコード進行を覚えるとき、
「C → Am7 → Dm7 → G7 …」と 一つずつ暗記しよう とします。
しかし、コード進行の本質は“流れ”です。
音楽の中では、コードは互いに関係し合い、
自然な“方向性”や“力の動き”を持っています。
この“流れ”をつかむことが、
アドリブにも伴奏にも大きな自由を与えてくれます。
🎹 ① まずは「トニック・サブドミナント・ドミナント」を理解する
コード進行の流れを読む最初の一歩は、
3つの役割に分類することです。
- T(トニック):安定・帰る場所
- SD(サブドミナント):外へ向かう動き
- D(ドミナント):緊張・帰りたくなる
たとえばCメジャーなら:
- T:C / Am
- SD:Dm / F
- D:G / Bdim
この分類だけで、
「今が安定なのか、進行途中か、緊張か」が分かります。
🎼 ② “2-5-1” の流れを身体で覚える
ジャズでもポップスでも最もよく出てくる流れが
Ⅱm7 → V7 → I(2-5-1) です。
Cメジャーなら:
Dm7 → G7 → Cmaj7
この流れを身体で覚えることで、
他のキーでも一気に理解が広がります。
🎵 練習法:全12キーでゆっくり弾く
速度はゆっくりで構いません。
Dm7 → G7 → Cmaj7 を繰り返すだけで、
“帰る力”の方向性を自然に感じ取れるようになります。
🎷 ③ コードを“度数”で考えると理解が一気に楽になる
コード進行をCやFなどの“名称”で覚えるのは限界があります。
おすすめは、“度数”で捉える方法。
Cで
- C → I
- Am → VI
- Dm → II
- G → V
といった具合に、
“数字で見る癖”をつけると、鍵盤の位置やキーが変わっても迷わなくなります。
度数で理解できるようになると、
曲の構造が地図のように見える ようになります。
🎵 ④ コードを一つ先読みする練習
流れを読むには、
「いま何を弾いているか」ではなく
「次に何が来るか」を予想する力 が必要です。
🎵 練習法:コードを見ながら“次のコードを心で言う”
例:
C → Am7 → Dm7 → G7 → Cmaj7
このとき、
Dm7を弾いている時には頭の中で「次はG7」と唱えます。
これだけで、
曲全体の“方向性”が自然に見えるようになります。
🎹 ⑤ ベースラインの動きに注目する
コード進行の流れは、
上の音よりも ベース(最低音) の動きに強く表れます。
- 全音下
- 半音下
- 4度上(または5度下)
この3つの動きさえ理解できれば、
ほとんどのポップス・ジャズの曲は読めるようになります。
🎵 練習法:ベースだけを弾いて流れを感じる
コードを弾かなくても、
ベースだけで“帰りたさ”と“進みたさ”の方向がわかります。
コード進行とは“音楽のストーリー”
コード進行は、
ただの記号の並びではありません。
それは音楽の ストーリー であり、
出発 → 冒険 → 緊張 → 帰還 のドラマがあります。
流れを読めるようになると、
- アドリブが自然に流れ始める
- 伴奏が安定する
- 曲の理解が深まる
- 表現力が増す
といった変化が起こります。
コード進行を覚えるのではなく、
“流れを感じる身体”を育てること。
その積み重ねが、音楽の自由をつくります。
野口 尚宏

