裏拍を感じるコツ──“交代リズム”でテンポをつかむ

ジャズミュージシャンがリズムを交代で取りながら笑顔で手を叩いている様子

🎶 裏拍が取れないのは、難しいからではない

多くの人が「裏拍を取るのは難しい」と感じています。
でも実際には、リズムを複雑に考えすぎているだけなんです。

裏拍は特別なものではなく、
単に“相手と交代で音を出す”だけのこと。
この感覚をつかむと、リズムが急に楽になります。


👏 “交代で叩く”だけで裏拍になる

たとえば、あなたと相手で手を叩くとしましょう。
同時ではなく、交代で叩くようにします。

  • あなたが「1」
  • 相手が「2」
  • あなたが「3」
  • 相手が「4」

このように交代で手を叩いていくと、
あなたが自然に「表拍」、相手が「裏拍」を担う形になります。

裏拍とは、相手の音と交代で音を鳴らすこと。
同時に叩かず、順番にテンポを保つ──
それだけで裏拍の感覚が体に入ってくるのです。


🥁 “裏打ち”ではなく“会話”のように感じる

裏拍を意識するとき、
「打たなければ」と思うほど身体が固くなります。

けれど実際には、裏拍とは音の会話の呼吸です。
相手の音を聴いて、自分の音をその間に置く。
それだけで自然にスウィングが生まれます。

裏拍とは「ズレ」ではなく「交代」。
つまり、“会話のリズム”なのです。


🎷 ジャズの裏拍は“共演”の感覚から生まれる

ジャズでは、ドラム・ベース・ピアノ・ボーカルが
それぞれのリズムを持ちながらも、
全員で“交代のグルーヴ”を作り出します。

その中で大切なのは、
「自分が鳴らしていない時に何が起こっているか」を感じること。
この「相手の拍を聴く力」こそ、
裏拍を自然に感じるための鍵です。


裏拍は“交代のリズム”

裏拍を取るとは、何か特別なテクニックではなく、
相手とテンポを分け合う感覚です。

同時に鳴らさず、交代で鳴らす──
そのリズムの中で、お互いの音が呼吸を始めます。

音を通じて会話をするように、
裏拍もまた、人とつながるリズムなのです。

野口 尚宏