なぜ基礎練習が早道なのか|曲は木、基礎は土

暖かな光の部屋で、男性が落ち着いた表情で基礎練習をする水彩アニメ風イラスト。手から流れる光が床下に広がって黄金の根の層をつくり、そこから形の異なる複数の若い芽が立ちのぼる。下部中央に「基礎は、土を耕す仕事。」の白いテキスト。

「基礎が大事」と言われても

音楽の世界では、
必ずこう言われます。

「基礎が大事です」
「スケールをやりましょう」

言われるたびに、
頭ではわかります。

でも、正直なところ、
こうも思うはずです。

その時間があるなら、
弾きたい曲を練習したい。

基礎練習は、
どうしても遠回りに見えます。

今日は、その遠回りが
なぜ結果的に一番の早道なのか、
仕組みの話をします。

遠回りに見えるのは、今日の成果が出ないから

まず、なぜ遠回りに
感じるのでしょうか。

理由ははっきりしています。

曲を練習すれば、
その日のうちに
変化が見えます。

昨日弾けなかった箇所が
今日は弾けた。
手応えがあります。

一方、スケールを十分弾いても、
その日は何も
変わった気がしません。

成果が目に見えないから、
意味がないように
感じてしまう。

でも、見えていないだけで、
そこでは別のものが
育っています。

曲の練習は「木を植える」こと

ここで、たとえ話をします。

曲を練習することは、
木を一本植えることに
似ています。

時間をかけて世話をすれば、
その木は確かに育ちます。

ただし、育つのは
その一本だけです。

一方、基礎練習は、
土を耕すことです。

耕している間は、
何も生えてきません。
見た目には、
何も起きていないように見えます。

でも、一度土がよくなれば、
そこに植えるものは
すべてよく育つようになります。

一本ずつ育てるのか、
全部が育つ土地を作るのか。

この違いです。

基礎を飛ばすと、毎回同じ場所で止まる

基礎を飛ばして
曲だけを練習していると、
あるパターンに
気づくようになります。

新しい曲に取りかかるたびに、
いつも同じような場所で
つまずくのです。

指がもつれる形。
苦手なリズム。
読みにくい調。

曲は違うのに、
止まる理由は同じです。

それは、その曲の難しさではなく、
まだ耕されていない
土の部分だからです。

その一曲の中で
力技で乗り越えても、
次の曲でまた
同じ壁が現れます。

結局、同じ苦労を
曲の数だけ
繰り返すことになります。

短期では遅く、長期では圧倒的に速い

だから、こうなります。

基礎練習をしている人は、
最初の数ヶ月、
曲だけをやっている人より
遅く見えます。

実際、仕上がった曲の数では
負けているかもしれません。

でも、一年、二年と経つと、
差が逆転します。

土ができている人は、
新しい曲に取りかかったとき、
立ち上がりが
まったく違います。

以前なら一ヶ月かかった段階に、
一週間で届いてしまう。

基礎練習の効果は、
あとになるほど
大きく効いてきます。

ただし、目的のない基礎練習は効きません

ここで、正直な注意点も
お伝えします。

ただ回数をこなすだけの基礎練習は、
あまり効きません。

指は動いていても、
耳が眠っていれば、
それは運動であって
音楽の練習ではないからです。

大切なのは、
「今、これは何のためにやっているか」を
わかっていることです。

音を均一に並べたいのか。
この調の響きに
耳を慣らしたいのか。

目的がわかっていれば、
同じ十分の練習でも
中身がまったく変わります。

基礎練習は、
理論を暗記することでも、
我慢比べでもありません。

量より、頻度

もう一つ、
実際的なことを言います。

基礎練習は、
まとめてやるより
毎日少しずつのほうが効きます。

週に一度、一時間かけるより、
毎日五分のほうが、
体には残ります。

土を耕すのと同じで、
一気にやろうとすると
疲れて続かなくなります。

五分でいいと思えば、
気が重い日でも
手が伸びます。

そして、続いたものだけが
結果を残します。

基礎が入ると、自由になれる

最後に、いちばん伝えたいことを
書きます。

基礎練習の目的は、
正確に弾けるようになることでは
ありません。

自由になることです。

指のことを考えなくてよくなると、
意識のすべてを
音楽そのものに向けられます。

相手の音を聴ける。
その場の空気を感じられる。
やりたい表現を、
そのまま出せる。

基礎は、
あなたを縛るためのものではなく、
あなたを解き放つためのものです。

あなたの土を、一緒に耕しませんか

とはいえ、
基礎練習をひとりで続けるのは
難しいものです。

成果が見えないので、
やめてもすぐには
困らないからです。

「三ヶ月前より、
ここが確実に変わりましたよ」
そう変化を見つけてくれる人がいると、
見えないはずの積み重ねが
目に見えるものになります。

サヴァサヴァでは、
今のあなたに必要な基礎を絞り、
その意味を伝えたうえで
一緒に続けていきます。

あなたの音楽が育つ土を、
ここから耕していきませんか。

Music Space サヴァサヴァ
   野口 尚宏

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