今やっている基礎練習は、未来のあなたへの贈り物。時間が経ってから「生きてくる」3つの理由。

温かみのある水彩画風のイラスト。スタジオで1つの音符に向き合い基礎練習をする人物。その手元から光の道が未来へと伸びており、途中に「忘却」を意味する小さな途切れがありながらも、最後には音符の葉を持つ美しく巨大な光の木へと成長している。地味な基礎練習が、時間の経過や耳の成長とともに、未来で突然大きな意味を持って花開く様子を表現している。画像下部には「基礎は、時を経て輝き出す。」というテキストが書かれている。

ロングトーンでの発声練習、
ピアノの指の独立運動やスケール(音階)練習。
音楽を始めたばかりの頃や、少し壁にぶつかった時、
こうした地味な基礎練習を繰り返していると
「早く曲が弾きたい」「本当にこれが上達に繋がっているのかな?」
と焦りや不安を感じることがあると思います。

結論から言うと、今あなたが真面目に取り組んでいるその基礎練習は、
すぐ明日には結果が出ないかもしれません。
しかし、半年後、あるいは数年後。
必ず「あ、あの時の練習はこういう意味だったのか!」と、
突然あなたの音楽を救い、輝かせる瞬間がやってきます。

なぜ、基礎練習は「時間が経ってから」生きてくるのでしょうか?
それには、3つの大切な理由があります。

1つ目の理由は、練習の物理的な積み重ねと同時に、
私たちが「忘れる生き物」だからです。

昨日やった基礎練習の感覚を、
今日のあなたは少し忘れています。「あれ、どうやって声を出したっけ?」と迷い、
またゼロから身体の使い方を探り直す。
実は、この「忘れては思い出す」という反復プロセスこそが、
脳と筋肉に最も深く技術を定着させる魔法**なのです。

一度で完璧に覚えた(つもりになった)ものは、
すぐに崩れてしまいます。
しかし、忘れるたびに何度も何度も「正しいフォーム」を作り直した基礎は、
時間が経つにつれて「無意識にできる一生の技術」へと昇華していきます。

2つ目の理由は、時間と共にあなたの「耳」が育っていくからです。

音楽を始めたばかりの頃は、
「ド」の音が出ればそれで満足かもしれません。
しかし、レッスンを重ねていくと、
あなたの耳は「ただのド」と「深く響く美しいド」の違いを聴き分けられるように成長します。

耳が育った未来のあなたは、
過去に教わった基礎練習の「本当の目的」に気づくことができます。
「ただ長く声を出す練習だと思っていたけれど、
これは響きを空間に溶け込ませるための練習だったんだ」と。
あなたの耳の成長が、過去の基礎練習に新たな命を吹き込むのです。

3つ目の理由は、
あなた自身の音楽に対する「考え方」が広がり、
成熟していくからです。

速く指を動かすことや、
高い声を出すことだけが音楽の素晴らしさではない。
アンサンブルでの調和や、一音に込める感情こそが大切なんだ。
そんな風に音楽の捉え方が深まった時、
かつて退屈に感じていた「ただ一音を丁寧に鳴らす」という基礎練習が、
実は究極の表現方法であったことに気がつきます。

身体の記憶、耳の成長、そして思考の成熟。
この3つが時間をかけて交わった時、
過去の基礎練習は「確固たる自信」となって、
あなたの演奏を根底から支えてくれます。

岸和田のMusic Space サヴァサヴァでは、
目先のテクニックだけでなく、
5年後、10年後のあなたが「あの時、これをやっておいて本当に良かった」
と心から思えるような、本質的な基礎を大切にしています。

今の練習がすぐ形にならなくても、
焦る必要は全くありません。
あなたが今流している汗や、向き合っている地味な時間は、
すべて「未来のあなたを輝かせるための大切な種まき」です。

私たちと一緒に、ゆっくりと時間をかけて、
あなただけの音楽の大樹を育てていきませんか?

野口 尚宏