「否定」しない心。ジャズが教えてくれる、肯定と協調の魔法

不協和音のような形を、温かい光のハーモニーで包み込み宝石に変える演奏者たち:否定せず肯定するジャズの心

会議でも、日常会話でも、
相手の意見に対して反射的に「いや、それは違うよ」
と否定から入ってしまうことはありませんか?
「正しさ」を追求するあまり、相手を萎縮させ、
場の空気を冷たくしてしまう。それはとても勿体ないことです。

ジャズの世界には、そんな「否定」を「肯定」に変える、
魔法のようなルールが存在します。

伝説の「ミステイク」が「傑作」に変わる時

ジャズの帝王マイルス・デイヴィスのバンドで、
ピアニストがコード(和音)を間違えて弾いてしまった時の有名な逸話があります。
普通の音楽なら「おい、間違えるな!」と演奏が止まるところです。

しかし、マイルスは演奏を止めませんでした。
彼はその「間違ったコード」が「正しい響き」
に聞こえるような旋律を瞬時に吹いてみせたのです。
結果として、そのミステイクは音楽的な奇跡となり、
新しいサウンドが生まれました。

「Yes, And(イエス・アンド)」の精神

ここにあるのは、「起きたことを否定せず、すべて受け入れる(Yes)」
そして「それに自分の音を加えて、
新しい価値を作る(And)」という精神です。

ジャズにおいて、他者の音を「否定」することは、
音楽の流れを止めることを意味します。
どんなに突拍子もない音でも、まずは肯定して受け止める。
そして「ならば、こう返そう」と協調することで、
不協和音すらも美しいハーモニーに変わるのです。

粗探しより、良いところ探し

否定しない心で演奏していると、耳の使い方が変わってきます。
「あいつ、リズムが走ってるな」と粗探しをするのではなく、
「勢いがあって良いな、じゃあ僕も乗っかろう」
あるいは「じゃあ僕はどっしり構えて支えよう」と、
前向きな「協調」が生まれます。

相手の音を肯定することは、相手の存在そのものを肯定すること。
「あなたの音、ちゃんと聴いているよ」というメッセージが伝わった時、
相手もまた心を開き、最高のパフォーマンスで応えてくれます。

ジャズを学ぶということは、
単に楽器の技術を学ぶだけではありません。
「自分と違う意見」や「予想外のトラブル」に出会った時、
それを否定せずに面白がり、
「じゃあ、どうしようか?」と前向きに協調する心を養うことでもあります。

ジャズミュージシャンが魅力的に見えるのは、
彼らが楽器を通して、常に「肯定の対話」をしているからかもしれません。

「No」と言うのは簡単です。
でも、「Yes」と言って受け入れた先にこそ、
想像もしなかった新しい世界が広がっています。

Music Space サヴァサヴァで、
音による「全肯定」の心地よさを体験してみませんか?
ここでは、あなたの出すどんな音も、誰かが優しく受け止めてくれます。

野口 尚宏