「意味」よりも、伝わるもの。歌声に乗る「想い」が、心を震わせる理由

歌詞の文字ではなく、光の波となって感情が伝わる様子を描いたイラスト:言葉の意味を超えて届く歌の力

海外の曲を聴いて、歌詞の意味は全くわからないのに、
なぜか涙が止まらなくなった経験はありませんか?
もし歌が「歌詞の意味を伝えるためだけのもの」だとしたら、
言葉の通じない歌に感動することはあり得ないはずです。

私たちが歌に心を動かされる時、
そこには言葉の意味を超えた、
もっと原始的で強力な力が働いています。

意味の前に「リズム」がある

歌詞カードを読む前に、
まずその言葉が持っている「リズム」を感じてみてください。

「愛している」という言葉一つをとっても、
ただの情報として読むのと、リズムに乗せて発音するのでは全く別物になります。
母音の響き、子音のアタック感。
言葉そのものが持つパーカッションのようなリズムが、
聴く人の身体を揺らし、心地よいグルーヴを生み出します。

名シンガーは、言葉を「意味」としてだけでなく、
「音(サウンド)」として捉え、その響きを最大限に楽しんで歌っています。

感情は「振動」して伝わる

そして何より重要なのが、あなたの「声」です。
声は単なる空気の振動ではありません。
そこにシンガーの「悲しい」「嬉しい」「伝えたい」
という強い「想い(念)」が乗った時、
声は物理的な振動を超えて、
聴き手の心臓を直接ノックするエネルギーに変わります。

「上手く歌おう」として形だけ整えた歌が響かないのは、
そこに「想い」が乗っていないからです。
逆に、多少音程が不安定でも、
魂を削るように歌われた一節が一生忘れられない記憶になるのは、
その「想いの質量」が圧倒的だからです。

歌詞はあくまで、感情をどこに向けるかを示す「地図」に過ぎません。
その地図の上を、どのような景色を見て、
どのような感情で歩くのか。
その「旅」の様子を伝えるのが、あなたの声です。

言葉の意味をなぞるのではなく、
その奥にある情景や感情を、声に乗せて解き放ってください。

「間違えずに歌えたか」を気にする必要はありません。
その言葉の響きを愛し、あなたの想いを乗せること。
それさえできていれば、あなたの歌は必ず誰かの心に届き、
震わせることができます。

Music Space サヴァサヴァでは、
そんな「心で歌う」喜びを大切にしています。

野口 尚宏