「半音」は魔法の接着剤。アドリブが劇的に滑らかになる、プロの隠し味

離れた音符(星)の間を、美しい半音階のリボンが滑らかに繋いでいる様子:半音階は音楽の接着剤

プロのジャズミュージシャンの演奏を聴くと、
音が途切れることなく、
まるで液体のように滑らかに流れているように感じませんか?
一方、初心者の演奏はどうしても階段を昇り降りしているような、
「カクカクした感じ」になりがちです。

この差を生む正体の一つが、
「半音階(クロマチック)」の使い方です。
ジャズにおいて半音階は、単なる音階練習ではなく、
メロディを大人の響きにするための「最高のスパイス」なのです。

階段ではなく、スロープを作る

「C」から「D」へ移動する時、
そのまま弾くと「階段」のような段差ができます。
しかし、間に「C♯」という半音を挟むことで、
それは階段から「スロープ(坂道)」へと変わります。

  • 通常の移動: C→ D(一歩で移動)
  • 半音階の使用: C → C♯ → D(滑らかに移動)

この半音階をターゲットとなる音(コードトーン)に向かって滑り込ませるように使うこと。
これが、ジャズ特有の「ヌルッ」とした、
色気のあるサウンドを生み出します。

長居せずに、通り過ぎる

半音階を使う時の最大のコツは、
「半音の音(C♯など)を強調しすぎないこと」です。

あくまで主役は、その前後にある「C」や「D」などのコードトーン
半音階は、主役と主役をくっつけるための
「接着剤」であり、目的地へ向かうための「架け橋」です。

ここに長く留まってしまうと、
「間違った音」に聞こえてしまいます。
「サラッと通り過ぎて、目的の音に着地する」
このスピード感が、演奏にスリルと推進力を与えます。

最初は、狙った音の「半音下」や「半音上」から弾き始めてみるだけで十分です。
それだけで、あなたのフレーズは一気にプロのような「滑らかさ」と「ジャズの香り」を帯びてきます。

音の隙間にある、小さな「半音」という魔法。
ぜひ今日のアドリブから使ってみてください。

野口 尚宏