ソロを競うより、ハーモニーを紡ぐ
かつては、誰が一番速く弾けるか、
誰が一番目立つかといった「個の主張」が
ぶつかり合うような演奏がもてはやされたこともありました。
しかし、これからの時代に求められる音楽は少し違います。
自分のエゴを押し通す「主張」ではなく、
周りの音を感じ取り、共に一つの世界観を作り上げる「協調」こそが、
人の心を動かす鍵になると私は確信しています。
「協調」とは、ただ合わせることではない
自分の「役割」を瞬時に悟る
「協調」というと、
単に周りに同調して大人しくしていればいい、と思われるかもしれません。
でも、音楽における協調はもっと能動的で高度なスキルです。
それは、刻一刻と変化する音楽の中で、
「今、自分はどんな役割を果たすべきか?」を常に考え続けることです。
- 今はピアノがメロディを歌っているから、
ドラムは静かに支えよう。 - ベースが少し冒険的なラインを弾いたから、
ピアノはあえてシンプルにコードを響かせよう。
まるで熟練したスポーツチームのように、
言葉を交わさなくてもお互いの意図を汲み取り、パスを回し合う。
それが本当の「協調」です。
「私」を消して、「私たち」になる
自分を主張することよりも、
「私たちでどんな景色を描くか」を優先できたとき、
不思議なことに個々の演奏も一番輝いて聴こえます。
「俺の音を聴け!」という雑念が消え、
純粋に音楽そのものに奉仕する状態。
その時、バンド全体が一つの生き物のように呼吸し始めます。
対話が生む、予定調和のない感動
相手をリスペクトする心
この「協調」のベースにあるのは、
共演者への深いリスペクト(敬意)です。
「あなたの音を聴いていますよ」「あなたの提案を受け入れますよ」
そんな心の余裕が、音色にも表れます。
勝ち負けや優劣ではなく、互いの違いを認め合い、
混ぜ合わせることで新しい色を作る。
これからの音楽は、そんな成熟した対話の場であってほしいと思います。
周りの音に耳を傾ける大切さ
「主張(Shuchō)」の「S」を捨てて、「協調(Kyōchō)」の「K」へ。
(ちなみにKは、Kindness=優しさのKでもありますね)
自分を大きく見せようと力む必要はありません。
周りの音に耳を傾け、心を預けてみてください。
Music Space サヴァサヴァで、
一人では決して辿り着けない美しい調和の世界を一緒に体験しましょう。
野口 尚宏

