完璧な準備なんて、いつまでもできない
「アドリブをするには、完璧な理論と準備が必要だ」
と思っていませんか?
もしそう思っているなら、
いつまで経っても最初の音を出すことはできません。
なぜなら、即興演奏とは「完璧な設計図」から生まれるものではないからです。
むしろ、不完全でもいいから
「エイッ」と外に出したその一音から、
全てが始まるのです。
「記憶」が「音」になった瞬間、物語は動く
頭の中の図書館を開放する
私たちはこれまでの人生で、数えきれないほどの音楽を聴き、
感動し、その響きを脳内の図書館に「音の記憶」としてストックしています。
でも、頭の中にしまってあるだけでは、それはまだ音楽ではありません。
大切なのは、その膨大な記憶の中から、
たった一つでもいいから「アウトプット」すること。
指先から実際の音として空気に放たれた瞬間、
初めてその記憶は「現実の音楽」としての命を持ちます。
この最初の一歩こそが、何より尊いのです。
音の「組み立て」が始まる
最初の一音が出ると、脳は自動的に反応し始めます。
「この音の次には、あの音が来ると気持ちいいな」
「次はこういうリズムで返してみよう」
それはまるで、
積み木遊びのような「音の組み立て」です。
あらかじめ決まったルートはありません。
最初に出した音が呼び水となって、次の音が引き出され、
またその次の音が…と、連鎖反応のように音楽が組み上がっていきます。
無限の可能性は「不確定」の中に
予定調和を壊す楽しさ
もし、最初から最後まで完璧に決まっていたら、
そこには驚きも発見もありません。
「次にどんな音が飛び出してくるか、自分でもわからない」
その不確定な状態から、記憶の引き出しがランダムに開き、
パズルのピースがハマるように音楽が展開していく。
そこには、無限の可能性が広がっています。
自分が意図していなかったフレーズが出てきて、
「おっ、今の自分かっこいいじゃん!」と驚く瞬間。
これこそが、即興演奏の醍醐味であり、最高の楽しさなのです。
すでにある音の記憶を信じる
完璧を目指して縮こまる必要はありません。
あなたの中には、すでに素晴らしい音の記憶がたくさん眠っています。
まずはそのカケラを一つ、
鍵盤の上に転がしてみてください。
そこから広がる無限の景色を、
Music Space サヴァサヴァで一緒に楽しみましょう。
野口 尚宏

