テストは100点でも、会話ができない?
日本人は英語の「勉強」がとても得意です。
単語を覚え、文法を理解し、テストで高得点を取る。
それなのに、いざネイティブを前にすると
「言葉が出てこない」という人がなんと多いことでしょうか。
実はこれ、音楽の世界でも全く同じことが起きています。
「コード理論は完璧」「スケールも全部覚えた」
それなのに、いざセッションになると指が動かない。
自由にメロディが浮かんでこない。
その原因は、私たちが音楽を「学習(Learning)」しようとしすぎて、
「習得(Acquisition)」できていない点にあります。
「知っている」と「使える」の決定的な違い
学習(Learning)=意識的なルール理解
「学習」とは、教室で教科書を開き、
意識的にルールや理論を学ぶことです。
「三単現のSだから…」とか「ここはドミナントだからオルタードスケールで…」と、
頭で考えて答えを出す作業です。
これは知識を整理するには役立ちますが、
瞬発力が求められる「会話」や「演奏」の現場では、処理が追いつきません。
習得(Acquisition)=無意識の身体感覚
一方、「習得」とは、子供が母国語を覚えるプロセスと同じです。
赤ちゃんは「主語+動詞+目的語」なんて文法を勉強しません。
周りの音を聴き、真似して、
失敗しながら「経験」として言葉を体に染み込ませていきます。
「習得」した言葉や音は、頭で考える前に、
無意識に口から、指から出てきます。
これこそが、私たちが目指すべき「自由な音楽表現」の正体なのです。
音楽は「勉強」するより「浴びる」もの
経験値が「勘」を育てる
語学も音楽も、
机の上でペンを握っているだけでは上手くなりません。
「学習」という安全な場所から飛び出して、
実際に音を出してみる。誰かと音で会話してみる。
「あ、このタイミングでこの音を出すと気持ちいいんだ」という経験を積み重ねる。
そうやって体に蓄積された感覚だけが、
本番で使える「生きた言葉(フレーズ)」になります。
間違いこそが「習得」の近道
子供は「てにをは」を間違えながら、
修正して喋れるようになります。
ジャズも同じです。
ミスタッチを恐れて理論書を読み込むより、
たくさん間違えて、耳と体で修正していく方が、
結果的にずっと早く、自由に弾けるようになります。
「勉強」をやめて、音楽を「遊び」倒すこと。
それが「習得」への一番の近道です。
「学習モード」から「習得モード」へ
もしあなたが「理論はわかるのにアドリブができない」
と悩んでいるなら、それはあなたの才能がないからではありません。
単に「学習モード」から「習得モード」への切り替えが必要なだけです。
Music Space サヴァサヴァは、教科書を暗記する場所ではありません。
英語圏に留学するように、音楽という言語を全身で浴びて、
使いながら身につける場所です。
頭を空っぽにして、音の会話を楽しみましょう。
野口 尚宏

