筋書きのないドラマ。即興の緊張感が「瞬間の選択力」を磨く

無数の光の選択肢の中から一つを選び取りピアノを弾く男性講師:即興演奏の緊張感と決断力

楽譜通りに弾けば、間違いなく美しい音楽になります。
そこには安心感があり、作曲者への敬意があります。

でも、ジャズの即興演奏(アドリブ)は、
その安全なレールをあえて外れる行為です。
「次はどうなるかわからない」「失敗するかもしれない」。

そんなスリリングな緊張感の中に身を置くこと。
実はこれこそが、音楽家として、
そして人間としての底力を飛躍的に高めてくれるのです。

0秒で答えを出す

「即興演奏って、適当に弾いているんでしょう?」
と聞かれることがありますが、
それは半分正解で、半分間違いです。

何もないところからデタラメに音を出しているわけではありません。
あらかじめ決められていない真っ白なキャンバスだからこそ、
奏者はその一瞬の間に、自分の脳内にある膨大な
「過去の積み重ね」というライブラリーにアクセスしています。

「過去に練習したあのフレーズ」
「昨日聴いたあのコード進行」
「昔感じたあの感情」

それらを0.1秒という速さで検索し、
「今のこのリズムには、これが合う!」
瞬時に選択して音に出しているのです。

過去が今の自分を助けてくれる

つまり、即興演奏のクオリティは、
どれだけ「過去の積み重ね」があるかで決まります。

必死に練習した指の動きや、
たくさんの音楽を聴いて感動した記憶。
それらが身体の中に蓄積されているからこそ、
緊張感のある場面でも、
とっさに「使える武器」として出てきてくれるのです。

積み重ねた過去は、決して裏切りません。

人生も即興演奏の連続

この「瞬時に選び取る力」は、音楽以外でもとても大切です。

私たちの人生もまた、台本のない即興演劇のようなものです。
予期せぬトラブルが起きた時、想定外のチャンスが来た時。
私たちは教科書を見る暇もなく、
その場で何かを決断し、行動を選ばなければなりません。

ジャズのアドリブで養われる「正解のない中で、自分の意思で道を選ぶ力」は、
そんな人生の岐路でもきっと役に立ちます。

「間違ってもいいから、今の自分が信じる音を出す」
その繰り返しの訓練が、迷いのない生き方を作っていくのかもしれません。

スリリングだからこそ、面白い。
決められていないからこそ、
あなたの「これまで」と「これから」が試される。

Music Space サヴァサヴァで、心地よい緊張感を味わいながら、
あなたの中にある「眠っている引き出し」を開けてみませんか?
その一瞬の選択が、新しいあなたとの出会いになるはずです。

野口 尚宏