道端の石が宝石に見える時。心の余白が作るジャズの音

手のひらに乗せた小さな石を愛おしそうに見つめる男性講師:心の余白と日常の気づき

先週の日曜日、美容院に行ってきました。
髪を短くして、気分も少し軽くなった帰り道のことです。
ふと足元に目が留まりました。

普段なら何気なく通り過ぎてしまう道端に、
コロンとした小さな石が落ちていました。
なんの変哲もない、ただの石ころです。
でも、なぜかその時の僕には、それがとても愛おしく、
なんだか宝石のように輝いて見えました。

思わず拾い上げて、手のひらに乗せてみる。
少し歪(いびつ)だけど、角が取れて丸くなったその感触が、
不思議と手に馴染んで落ち着くのです。「連れて帰ろう」。
そう思って、ポケットに入れて持ち帰りました。

美しさは「見る目」の中にある

ふと、考えました。なぜ今日は、
こんな道端の石に目が留まったのだろう?

きっと、美容院帰りでリフレッシュして、
心に少しだけ「余白(スペース)」ができていたからだと思います。

仕事で忙しい時、焦っている時、悩みで頭がいっぱいの時。
私たちは、たとえ道端に花が咲いていても、
空がどんなに青くても、それに気づくことができません。
世界から「美しさ」が消えてしまったのではなく、
私たちの「心の目」が閉じてしまっているだけなのです。

音楽的視点:余白がないと音は聞こえない

必死な演奏は「独り言」になる

実はこれ、ジャズの演奏も全く同じことが言えます。

「うまく弾こう」「間違えないようにしよう」
そんな風に力が入って心に余白がない時は、不思議なほど周りの音が聞こえなくなります。
ドラムがどんなリズムを刻んでいるのか、ベースがどこに行こうとしているのか。
耳が閉じ、自分だけの世界に閉じこもって、
必死に音符を並べるだけの「独り言」になってしまうのです。

リラックスがアンサンブルを生む

でも、肩の力を抜いて、心に余白を作ってあげると、世界が変わります。

「あ、今ドラムが面白いリズムを出したな」「じゃあ、僕はこう返そうかな」
周りの音がクリアに聞こえ、自然と音の会話が生まれます。
静けさが音を美しくするように、心にスペースがあるとき、
ジャズは魔法のように楽しくなるのです。

心への効果:不格好さを愛せる余裕

指の速さより大切なもの

この石ころは、そんな大切なことを改めて僕に教えてくれた気がします。

不格好だけど、愛おしい。
そんな自分だけの「音」を出すために本当に必要なのは、
指の速さや難しい理論ではなく、
「足元の石を面白がれる心の余裕」なのかもしれません。

失敗は成長の入口です。歪な石を愛でるように、自分の出す不完全な音も「それも味だね」と笑える余裕が、あなたの音楽を豊かにします。

教室のピアノの横に、この石をちょこんと置いておきます。
レッスンにいらした際は、ぜひ撫でてあげてください。

忙しい日常を少し離れて、ここMusic Space サヴァサヴァで、
心の余白を取り戻してみませんか?
あなたのペースで、あなたらしい音を見つけるお手伝いをします。

野口 尚宏