失敗を恐れず奏でる勇気が音を自由にする

失敗を恐れずに音を奏でるジャズピアニストの姿

心が止まる瞬間にこそ、音が生まれる

ステージで音を出そうとするとき、
心が一瞬止まることがあります。
「間違えたらどうしよう」
その小さな迷いが、音の流れを止めてしまうのです。

でも、その沈黙の中にこそ、本当の即興が潜んでいます。
音を出す勇気が、次の景色をひらくのです。


失敗の中にある“音の真実”

音楽とは、予定された正解をなぞるものではありません。
ひとつのが世界を変えることがあります。
その一音を信じられるかどうか。

即興演奏では、失敗は恐れるものではなく、
呼吸のような流れの中で自然に起こるものです。
大切なのは、音を止めないこと。
たとえ間違っても、次の音がその意味を変えていきます。


生徒さんとともに“今”を奏でる

レッスンでも、私は「間違えていいですよ」とよく伝えます。
大事なのは、正確さではなく感じる力なのです。
音を出す瞬間、呼吸を意識し、心で聴くこと。

その勇気が、音楽を自由にします。
誠実に自分の音を出すこと
それこそが、即興演奏の第一歩なのです。


音が教えてくれる、今という瞬間

音は、私たちの心の状態を映します。
恐れがあるときは、音も小さくなる。
でも勇気を出して音を放てば、
その響きは、誰かの心に届いていきます。

失敗を恐れず奏でる音が、
あなたの中の静けさを、そっと照らしていくのです。

野口 尚宏