🎶 個性とは、探し求めるものではない
現代では「自分らしさ」や「個性を出すこと」がよく語られます。
しかし、本当の個性とは、自分で作ろうとして作れるものではありません。
それは、努力や意図の結果ではなく、
日々の思考や感じ方、生き方の積み重ねから静かに滲み出てくるもの。
そして、その静かな個性こそ、他人と比べる必要のない“自然な存在感”を生みます。
🎷 ジャズの即興性が教えてくれること
ジャズや即興演奏の世界にも、まさにこの考え方が映し出されています。
上手く聴かせよう、目立とうと意識した瞬間に、音は硬くなり、
“自分らしい音”は遠ざかってしまうのです。
一方で、音の流れに身を委ね、周りと調和しながら
自然と出てきたフレーズには、その人ならではの個性が宿ります。
それは作り出すものではなく、“今ここ”に生まれるもの。
個性は、探すのではなく、静かに受け入れるものなのです。
🌿 静観の中で生まれる“音の美しさ”
個性とは、主張や表現の強さではなく、
「どれだけ自分や世界を観察できるか」の深さに宿ります。
自然の移ろいを感じるように、音の変化、空気の動き、相手の呼吸を聴く。
その“静かな観察”の中にこそ、音楽も人生も豊かさが生まれます。
ジャズの演奏も同じで、音を出す瞬間に「次の音」を急がず、
その場の“間（ま）”を感じ取ることが、最も深い表現になります。
🌱 当教室で伝えている“個性の育ち方”
当教室では、「個性を出す」よりも、
「個性が自然と育つ環境をつくること」を大切にしています。
レッスンでは、生徒一人ひとりの“感じ方”や“間の取り方”を尊重し、
それぞれが自分のテンポで音を育てていけるようにしています。
音楽の個性とは、誰かに勝つことでも、目立つことでもなく、
“その人が音をどう感じるか”にすべてが表れます。
静けさの中に宿る個性
個性とは、外へ向けた声ではなく、
内側から自然にあふれ出す“静かな響き”です。
ジャズも人生も、無理に個性を主張しなくても、
誠実に、今を感じながら生きることで、それが音になる。
その音が、あなたの唯一の「個性」なのです。
野口 尚宏