教えることで、自分の音楽はもう一度育っていく

暖かな光の音楽室で、大人の生徒と講師が一台のアップライトピアノの前に並び、講師養成レッスンの教材や進め方を一緒に確認している水彩アニメ風イラスト。鍵盤から黄金の音の糸が立ち上がり、講師、生徒、教材、未来の生徒をやわらかく結んでいる。下部中央に「教えることで、自分の音楽も育っていく。」という白い文字が入っている。

教えることは、特別な人だけのものなのでしょうか

音楽を教えるというと、
少し大きなことのように感じるかもしれません。

もっと上手くなってから。

もっと理論が分かってから。

もっと経験を積んでから。

そう思う方も多いのではないでしょうか。

もちろん、音楽を教えるには、
技術も知識も経験も必要です。

けれど、すべてが完成してからでないと、
教えることを考えてはいけないわけではありません。

むしろ、教えることを考え始めることで、
自分の音楽がもう一度育ち始めることがあります。

最初から一人で教えるわけではありません

サヴァサヴァで始めようとしている講師養成レッスンは、
いきなり一人で生徒さんを教えてもらうものではありません。

レッスン教材。

進め方の例。

説明の順番。

音の出し方の伝え方。

生徒さんがつまずきやすいところ。

そうした土台はこちらで用意します。

その上で、
実際にどう伝えるかを、
一緒に考えていきます。

同じ内容を伝えるとしても、
言葉の選び方や、
音で示す順番によって、
相手への届き方は変わります。

だからこそ、
最初から完成された先生になる必要はありません。

用意された土台を使いながら、
少しずつ自分なりの教え方を見つけていけばよいのだと思います。

分かっているつもりだったことを、言葉にする

人に伝えようとすると、
不思議なことが起きます。

自分では分かっているつもりだったことが、
言葉にしようとした瞬間に、
急に曖昧に見えてくるのです。

なぜ、このコードへ進むのか。

なぜ、このリズムは弾きにくいのか。

なぜ、この声の出し方だと響きが変わるのか。

なぜ、このフレーズは自然に聴こえるのか。

それを誰かに説明しようとしたとき、
自分の理解の輪郭が見えてきます。

分かっていなかったことに気づくのは、
決して悪いことではありません。

そこから、
自分の音楽がもう一度深まり始めるのです。

教えることは、自分の音楽を育て直すこと

教えることの一番大きな意味は、
誰かのためだけにあるのではないと思います。

誰かに伝えることで、
自分自身の技術や知識、経験が、
より深く身についていきます。

感覚でやっていたことを、
言葉にしてみる。

言葉にしたことを、
実際の音で示してみる。

相手の反応を見ながら、
もう一度伝え方を変えてみる。

その過程で、
自分の中にあった音楽の経験が、
少しずつ整理されていきます。

教えることは、
自分の音楽を外へ渡すことでもあり、
自分の音楽をもう一度受け取り直すことでもあります。

教え方には、その人らしさが出る

同じ教材を使っても、
教え方は人によって変わります。

丁寧に順番を追って伝える人。

音を出しながら感覚で導く人。

言葉で整理するのが得意な人。

相手の表情を見ながら、
必要な一言を渡せる人。

どれが正解というより、
それぞれに役割があります。

大切なのは、
自分の癖を知り、
相手に届く形へ少しずつ整えていくことです。

講師養成レッスンでは、
ただ決まった教え方をなぞるのではなく、
その人なりの伝え方を一緒に探していきたいと思っています。

伝える側に立つと、音楽の景色が変わる

音楽を学ぶ側にいるときと、
伝える側に立つときでは、
見えてくる景色が少し変わります。

自分ができるかどうかだけでなく、
相手がどう受け取るかを考えるようになります。

どこで迷っているのか。

何が見えていないのか。

どの言葉なら届くのか。

どの音を聴けば、
次の扉が開くのか。

そう考えることで、
音楽は自分一人のものではなくなっていきます。

伝える側に立つことは、
音楽を人と分かち合う側に立つことでもあります。

教える力を、少しずつ育てていく

サヴァサヴァの講師養成レッスンは、
急いで講師にするためのものではありません。

まずは、
自分が学んできたことを整理する。

それを言葉にしてみる。

音で示してみる。

相手にどう届くかを考えてみる。

その積み重ねの中で、
教える力は少しずつ育っていきます。

そしてその過程は、
教えるためだけでなく、
自分自身の音楽を深める時間にもなります。

もし、いつか音楽を伝える側にも立ってみたいと思うなら、
その入口を一緒に作っていけたらと思います。

教えることで、
自分の音楽はもう一度育っていく。

その時間を、
サヴァサヴァで少しずつ始めていけたらと思います。

Music Space サヴァサヴァ
  野口 尚宏

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