習い事は、我慢するものだと思われがちです
習い事という言葉には、
どこか身構えるものがあります。
先生がいて、教わって、
宿題が出て、
次の週に確認される。
できていないと、
気まずい思いをする。
子どもの頃の経験から、
そういう印象を持っておられる方は
多いと思います。
ですので、
ここで何をしているのかを
書いておきます。
教わる場所というより、
試してみる場所です。
まず、音を出してみる
当教室には、
グランドピアノがあります。
コントラバスがあり、
ドラムセットがあります。
これらは、
説明のために置いてあるのでは
ありません。
触っていただくために
置いてあります。
グランドピアノの音は、
録音で聴くのとは違います。
鍵盤を押すと、
身体のほうに響きが返ってきます。
コントラバスの弦を
一度はじいてみると、
あの低音がどこから来ているのかが
わかります。
ドラムも、
叩いてみて初めて
どうやってあの音が
出ているのかがわかります。
説明を聞いて
納得することと、
自分の手で確かめることは、
まったく別のことです。
「こうなるのか」という瞬間
コードもそうです。
紙の上で説明を読んでも、
あまりぴんと来ません。
ですが、
実際にその和音を押さえて、
上に一音足してみる。
すると、響きが変わります。
「こうなるのか」
その一言が出た瞬間が、
いちばん大事だと思っています。
そこで起きているのは、
教わることではなく、
発見することです。
そして、自分で発見したことは
忘れません。
アドリブは、実験に似ています
アドリブというと、
難しそうに聞こえます。
ですが、やっていることは
実験に近いものです。
この和音の上で、
この音を出したらどうなるか。
やってみる。
聴いてみる。
心地よければ、また使う。
違うと思えば、別の音にする。
それだけのことです。
正解を教わってから
その通りにやるのではなく、
試しながら自分で見つけていく。
この順番が、
ジャズには向いています。
宿題のような形では、お渡ししません
誤解のないように書きます。
何も教えないわけでは
ありません。
コードの仕組みも、
リズムの取り方も、
必要なところは
きちんとお伝えします。
ただ、それは
やらされる課題としてではなく、
試すための道具として
お渡ししています。
できていなかったからといって、
気まずい思いを
していただく必要もありません。
その週にできなかったのなら、
ここで一緒にやればいい。
それだけのことです。
気になったことは、聞いてください
むしろ、
助かるのはこちらです。
「今の音、なんですか」
「これはどうやって出すんですか」
そう聞いていただけると、
その方が今何に興味を持っているかが
わかります。
興味を持っているところから始めると、
いちばん早く身につきます。
こちらが用意した順番より、
その方が知りたいと思った順番の
ほうが、たいてい強いのです。
大人だからこそ、探究になります
子どもの習い事と
いちばん違うのは、
ここだと思います。
大人は、
自分で来ることを決めています。
誰かに言われて
座っているわけではありません。
その状態でしか、
探究は始まりません。
知りたいから調べる。
気になるから試す。
これは、
やらされているうちは
絶対に起こらないことです。
大人になってから音楽を始める方が
面白いのは、
ここだと思っています。
まずは、触りに来てください
とはいえ、
いきなり自由に試してくださいと
言われても、
戸惑うと思います。
何をどう試せばいいのか、
最初はわからないからです。
ですので、
最初のうちは
「ここを押してみてください」
という形でお渡しします。
そこから、
自分で次を試したくなってくれば、
もう探究が始まっています。
サヴァサヴァは、
教わりに来る場所というより、
音を確かめに来る場所です。
本物の楽器の音を、
一度その手で
確かめにいらしてください。
Music Space サヴァサヴァ
野口 尚宏

