「弾きたい曲が、特にないのですが」
体験レッスンに来られた方から、
こう言われることがあります。
「弾きたい曲が、
特にないのですが」
ジャズに興味は湧いた。
でも、曲名はほとんど知らない。
これといった目標もない。
そんな状態で来ていいのだろうか、
と思われるようです。
まったく問題ありません。
むしろ、
その状態には利点があります。
ジャズは、曲名から入りにくい音楽です
まず、
これは知っておいていただきたいのですが、
ジャズは曲名を覚えにくい音楽です。
歌詞のある曲でも、
英語のタイトルが多い。
演奏だけの曲となると、
なおさら記憶に残りません。
それに、同じ曲でも
演奏する人によって
まったく違って聴こえます。
聴いたことがあるはずなのに、
同じ曲だと気づかない。
そういうことが
普通に起こります。
ですから、
曲名が出てこないのは
知識が足りないからではありません。
音楽の作りが
そうなっているだけです。
白紙のほうが、進みやすいことがあります
やりたい曲がはっきりしている方は、
もちろん歓迎です。
ただ、その場合、
その一曲が今の段階に
合わないこともあります。
先に少し土台を作ってから、
と回り道をお願いすることになる。
希望がない方の場合は、
そこが自由です。
今のその方にちょうどいい曲を、
最初からお渡しできます。
無理なく弾けて、
それでいて
ジャズらしさが味わえるもの。
白紙で来られるというのは、
不足ではなく、
むしろ身軽な状態です。
曲は、あとから見つかります
実際に多いのが、
こういう流れです。
最初は何も知らない状態で始まる。
いくつか曲に触れていくうちに、
ある日ふと、
これが好きだと感じる曲に出会う。
その一曲が、
その方の目標になっていきます。
先に目標を決めてから始めるのではなく、
始めたから目標が見つかる。
そして、その順番で見つかった曲のほうが、
本当に好きな曲であることが多いのです。
知らないものは、
選びようがありませんから。
好きな曲は、ジャズでなくて構いません
それでも手がかりが欲しい、
という方には
こうお聞きしています。
ジャズでなくていいので、
好きな曲を教えてください。
洋楽でも、歌謡曲でも、
映画で流れていた曲でも構いません。
そこには、
その方の好みが必ず出ています。
明るいものが好きなのか。
落ち着いたものが好きなのか。
歌が中心か、
演奏そのものに惹かれるのか。
それがわかれば、
近い雰囲気のスタンダードを
ご紹介できます。
ジャズの知識は
まったく要りません。
「なんとなく気になった」で十分です
そもそも、
なぜジャズが気になったのでしょうか。
お店で流れていた。
映像作品で耳にした。
大人っぽくて
かっこよさそうに見えた。
理由としては、
それで十分です。
むしろ、
その「なんとなく」のほうが
信用できると思っています。
知識で選んだものより、
説明できないまま惹かれたもののほうが、
その人の芯に近いところから
来ていることが多いからです。
言葉にできないだけで、
何かに反応したのは確かです。
目標がなくても、続きます
「目標がないと続かないのでは」
と心配される方もおられます。
ただ、実際に長く続いている方は、
大きな目標を掲げている方より、
毎回そこそこ楽しい、
という方が多いように思います。
この曲を弾けるようになる、
という目標は
達成すると終わってしまいます。
音を出している時間が心地よい。
その感覚のほうが、
意外と長持ちします。
ですので、
今は目標がなくても
まったく問題ありません。
その「なんとなく」を、聞かせてください
とはいえ、
何も決まっていない状態で
問い合わせるのは、
気が引けるものだと思います。
何を伝えればいいのかも
わからないからです。
ですが、
「なんとなく気になって」で
始まった会話から、
その方に合う一曲が
見つかっていくことは
本当によくあります。
サヴァサヴァに来られる方の
ほとんどは、
ジャズをよく知らないまま
来られています。
曲が決まっていなくて構いません。
まずは、
お話を聞かせてください。
Music Space サヴァサヴァ
野口 尚宏

