AI時代、子どもに何を身につけさせればいいのか
子育てをしている方や、
教育に関心のある方が、
今、静かに抱えている問いがあります。
AIがこれだけ発達した時代に、
子どもに何を身につけさせればいいのか。
暗記が得意でも、
AIは一瞬で膨大な情報を思い出します。
計算が速くても、
AIには敵いません。
これまで「頭が良い」とされてきた能力の多くが、
AIによって置き換えられつつあります。
では、これからの時代に
本当に問われる力とは何でしょうか。
私は、三つの転換が起きると考えています。
記憶力より発想力。
思考力より行動力。
競争力より共感力。
そして、その三つすべてが、
ジャズの即興演奏とセッションの中に
詰まっているのです。
記憶力より、発想力
情報を覚えることは、
もはや人間の得意分野ではありません。
これから問われるのは、
覚えた知識を組み合わせて
新しいものを生み出す発想力です。
ジャズの即興演奏は、
まさにこの発想力のトレーニングです。
脳科学の研究では、
ジャズミュージシャンが即興演奏をしているとき、
自己検閲を司る脳の部位の活動が下がり、
自己表現に関わる部位の活動が上がることが
わかっています。
つまり、即興演奏は
「正解を思い出す」モードではなく、
「新しく生み出す」モードに
脳を切り替えるのです。
決まった答えを再現するのではなく、
その場で新しい音を生み出す。
この体験の積み重ねが、
発想力を育てていきます。
思考力より、行動力
考えることは、大切です。
でも、考えすぎて動けなくなる。
これは、多くの人が抱える課題です。
AI時代には、
じっくり考えてから動くよりも、
まず動いて、動きながら考える力が
重要になります。
ジャズの即興演奏では、
考えている時間はありません。
音楽は止まってくれません。
次の瞬間には、次の音を出さなければならない。
完璧に考えてから弾こうとすると、
音楽から取り残されてしまいます。
だから即興演奏では、
「まず音を出す」ことを学びます。
出した音が思っていたのと違っても、
次の音で修正すればいい。
完璧を待つのではなく、
動きながら整えていく。
この「まず動く」という感覚は、
子どもにとっても大人にとっても、
これからの時代を生きる
大切な力になります。
競争力より、共感力
これまでの教育は、
競争を軸にしてきました。
テストの点数、順位、偏差値。
でも、他人と比べて勝つ力は、
AI時代にはあまり意味を持ちません。
これから本当に問われるのは、
他者とつながり、
他者の気持ちを感じ取る共感力です。
ジャズのセッションは、
この共感力そのものを育てます。
セッションでは、
自分の音を出しながら、
同時に相手の音を聴きます。
相手が今どんな気持ちで弾いているか。
次にどこへ向かおうとしているか。
それを音から感じ取って、応える。
これは、まさに共感の訓練です。
研究でも、合奏や合唱といった
他者と音を合わせる体験が、
協調性や他者理解を育てることが
示されています。
勝ち負けではなく、
一緒に一つの音楽を作る。
その体験が、共感力を育てていきます。
「答えが一つではない」を体で学ぶ
ジャズが子どもの教育に良いとされる、
もっとも大きな理由があります。
それは、
「答えが一つではない」ことを
体で学べることです。
学校のテストには、正解があります。
でも即興演奏には、正解がありません。
「間違えてもいい」
「自分らしく表現していい」
「いろんな答えがあっていい」
この感覚を、
頭ではなく体で覚えることは、
自己肯定感を育てます。
正解を外すことを恐れる子どもが、
「自分の音を出していいんだ」と
気づく瞬間。
それは、AI時代を生きる上で、
何よりも大切な土台になります。
非認知能力という、これからの土台
近年の教育研究では、
「非認知能力」という言葉が
注目されています。
テストで測れる学力ではなく、
意欲、協調性、粘り強さ、
感情のコントロール、創造性といった、
数値化しにくい力のことです。
そしてこの非認知能力こそが、
将来の幸福や成功に
大きく関わることがわかってきています。
ジャズのセッションは、
この非認知能力を育てる
絶好の場です。
他者を聴く協調性。
その場で生み出す創造力。
うまくいかなくても続ける粘り強さ。
音を通じて感情を扱う力。
これらは、AIには代われない、
人間だけの力です。
大人が体験するからこそ、子どもに伝わる
ここで一つ、大切なことをお伝えします。
子どもにこうした力を身につけてほしいなら、
まず大人自身が体験することが
いちばんの近道です。
「発想力が大事」と言葉で教えるより、
親が即興演奏を楽しんでいる姿。
「共感力が大事」と説くより、
大人がセッションで誰かと音を合わせる喜び。
その姿こそが、
何よりも雄弁に子どもに伝わります。
サヴァサヴァは、
大人が本気で音楽を楽しむ場所です。
AI時代に本当に必要な力を、
まずあなた自身が
音楽を通じて体験してみませんか。
その体験は、あなた自身を豊かにし、
そしてきっと、
まわりの人にも伝わっていきます。
Music Space サヴァサヴァ
野口 尚宏

