感情に正直な音楽が感動を生む|上手い下手より大切なこと

暖かな光の部屋で、女性がピアノを弾く中央を軸に、左側にむき出しの感情を表す渦巻く金色のエネルギーが、右側に音楽というフレームを通って整然とした音符として現れる構図の水彩アニメ風イラスト。下部中央に「感情がフレームに収まるとき、感動が生まれる。」の白いテキスト。

上手い下手は、本当に関係ない

少し強い極端な言い方かもしれませんが、
演奏、歌に上手い下手は、
本当に関係ありません。

もちろん、技術は大切です。
でも、技術が「感動」を生むのではありません。

完璧な技術で演奏された音楽が、
心にまったく届かないことがあります。
一方で、技術的には粗削りでも、
聴いた人の心を揺さぶる演奏があります。

その違いはどこにあるのか。

それは、演奏者が
自分の感情に正直かどうか、
だと思っています。

感情に正直になるということ

「感情に正直になる」と言うと、
簡単なことのように聞こえます。

でも実際は、
これがもっとも難しいことのひとつです。

演奏するとき、
多くの人はこんなことを考えています。

「間違えないようにしなければ」
「上手く見せなければ」
「先生に指摘されないようにしなければ」
「聴いている人にどう思われるか」

これらはすべて、
「外側」に向いた意識です。

感情に正直になるとは、
この外側への意識を一度手放して、
自分の内側に向き直ることです。

「今、自分は何を感じているか」
「この音楽は自分の中で何を呼び起こしているか」
「今この瞬間、表現したいものは何か」

その問いに正直に向き合うことから、
音楽の表現は始まります。

感情が先にある。技術は後から来る

音楽における感情と技術の順番について、
少し整理してみます。

まず、感情が動きます。
「これを表現したい」
「この気持ちを音にしたい」
という衝動が生まれます。

次に、その衝動を
外の世界に出したいという欲求が来ます。

そこで初めて、技術が必要になります。

内側にある感情を、
正確に音として外に出すための手段。
それが技術の本来の役割です。

「技術を磨いてから、感情を込める」
ではありません。

「感情が先にあって、
それを出すために技術を使う」
という順番です。

この順番が逆になると、
技術はあるのに何も伝わらない、
という状態になりやすいのです。

むき出しの感情は、まだ音楽ではない

ただし、ここで大切なことがあります。

感情に正直になることと、
感情をそのまま垂れ流すことは、
違います。

むき出しの感情は、
まだ音楽ではありません。

誰かが泣き叫んでいるのを聞いて、
感動する人はいません。
でも、その悲しみが音楽として表現されたとき、
聴く人の心が動きます。

感情には、
「フレーム」が必要なのです。

音楽というフレーム。
メロディというフレーム。
リズムというフレーム。
コードというフレーム。

むき出しの感情が、
このフレームの中に収まったとき、
初めて感動が生まれます。

感情とフレームが出会う瞬間

これは絵画に例えるとわかりやすいかもしれません。

画家が感じた感動を、
キャンバスという枠の中に収めることで、
絵画は作品になります。

もし感動をそのまま壁に叩きつけても、
それは作品にはなりません。

音楽も同じです。

内側にある感情を、
音楽という枠の中に収める。
その枠をつくるのが、技術であり理論です。

感情だけでは、
音楽にならない。
でも技術だけでも、
感動にならない。

「感情」と「フレーム」が出会う瞬間に、
音楽は生まれます。

技術を学ぶ意味が、変わってくる

この考え方を持つと、
技術を学ぶ意味がまったく変わってきます。

「上手く見せるために技術を学ぶ」のではなく、
「自分の感情を正確に音にするために技術を学ぶ」。

この違いは、
練習の質を根本から変えます。

「このフレーズを正確に弾けるようになりたい」
ではなく、
「この感情をこのフレーズで表現できるようになりたい」。

目的が変わると、
練習の中に感情が入ってきます。
感情が入ると、
練習が音楽になっていきます。

今日から、感情に正直に弾いてみる

次に楽器に向かうとき、
一度だけこう問いかけてみてください。

「今日の自分は、何を感じているか」
「この曲を弾くとき、自分の中に何があるか」

答えが出なくても構いません。
その問いを持ちながら弾くだけで、
音は少し変わります。

感情に正直になることは、
練習でも習得できます。
でも一人では、
「自分の感情が本当に音に出ているか」を
客観的に確認するのが難しいものです。

「今のあなたの音に、感情が乗っています」
「ここはまだ技術が感情を追い越しています」
そう伝えてくれる人がいると、
感情と技術のバランスは
格段に育ちやすくなります。

技術を磨いてきたのに、
何か伝わらない感覚がある方は、
ぜひ一度スタジオへ来てみてください。

あなたの感情が音楽というフレームに収まる瞬間を、
一緒に見つけていきましょう。

Music Space サヴァサヴァ
   野口 尚宏

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