大人になってから始める音楽には、特別な自由がある
前回のコラムで、
コンクール文化や点数主義について
お話ししました。
今回はその裏側にある、
明るい話をしたいと思います。
それは、
大人になってから音楽を始める人だけが持っている、
とても豊かな「自由」についてです。
「もう若くないから」
「子どもの頃にやっておけばよかった」
「今からじゃ遅い」
そう思っている方にこそ、
知っていただきたい話です。
子どもの頃に習った人ほど、音楽が苦しいことがある
意外に思われるかもしれませんが、
子どもの頃に音楽を習っていた方ほど、
大人になってから
「音楽が楽しめない」
と感じている方が多いのです。
厳しい先生、
毎週のレッスン、
発表会のプレッシャー、
コンクールでの順位づけ。
「上手く弾かなければいけない」
「間違えたら怒られる」
「他の子と比べられる」
そういった経験が、
音楽そのものを
「苦しいもの」にしてしまうことがあります。
大人になってから
「もう一度音楽を始めたい」と思っても、
その記憶が邪魔をして
なかなか前に進めない。
そんな話を、
サヴァサヴァでもよくお聞きします。
大人から始める人は、「縛り」がない
逆に、
大人になってから初めて音楽を始める方には、
そういった「過去の縛り」がありません。
「上手にならなければいけない」という
義務感がない。
「他人と比べられる」プレッシャーもない。
「コンクールに出なければいけない」という
道筋もない。
あるのはただ、
「音楽が好き」「やってみたい」という
純粋な気持ちだけです。
これは、
音楽を続けていく上で
とても大きな財産です。
子どもの頃から続けてきた人が、
長い時間をかけて手放そうとしている「縛り」を、
大人から始める人は
最初から持っていないのです。
「下手でいい」という権利
大人だから、
「下手でいい」と言える権利があります。
誰かに評価される必要もないし、
コンクールに出る必要もない。
発表会で完璧に弾く必要もありません。
自分が楽しいから弾く。
気持ちよく音を出せたら、それでいい。
少しずつ上達していく過程そのものを
楽しめばいい。
これは、
音楽の本来の姿に
もっとも近い向き合い方かもしれません。
そして不思議なことに、
「下手でいい」と思って
気持ちよく弾いている大人の音には、
聴く人の心を動かす
独特の温かさがあります。
人生経験が、音に乗っていく
もうひとつ、
大人から始める人だけが持っている宝物があります。
それは、人生経験です。
子どもの演奏には
まだ知らない感情がたくさんあります。
でも大人の演奏には、
これまでの人生で感じてきた
喜びや悲しみ、
嬉しさや切なさが
自然と乗っていきます。
同じ曲を弾いても、
20歳の人と50歳の人では
まったく違う響きになるのです。
これは、
技術では決して超えられない
「人間の音」の豊かさです。
AIが完璧に演奏できる時代に、
もっとも価値を持つのは、
こういう「人生が乗った音」だと思います。
「もっと早く始めればよかった」と思う必要はない
「もう50歳だから」
「もう60歳だから」と
諦めかけている方に、
ぜひお伝えしたいことがあります。
あなたが今までに積み重ねてきた人生は、
音楽を始めるために
無駄ではなかったのです。
その経験のすべてが、
これから出していく音に
豊かさを与えてくれます。
子どもの頃に始めなかったから今がある。
そう思える日が、きっと来ます。
大人だからこそ、音楽は深く楽しめる
大人になってから音楽を始めることには、
子どもの頃には味わえなかった
深い楽しみがあります。
自分のペースで進められる自由。
純粋に音楽を愛せる気持ち。
人生経験という、
かけがえのない表現の素材。
これらは、
大人だけが持てる特権です。
サヴァサヴァは、
大人のための音楽スタジオです。
「下手でいい」「楽しめればいい」という
気持ちを大切にしながら、
あなたの人生が乗った音を
一緒に育てていきます。
「今さら」と思っている方も、
「子どもの頃に挫折した」という方も、
ぜひ一度スタジオへ来てみてください。
大人だからこそ味わえる音楽の世界を、
一緒に歩んでいきましょう。
野口 尚宏

