ピアノを弾いているとき、息を止めていませんか?
ピアノを真剣に弾いているとき、
ふと気づくと息が止まっている。
そんな経験、ありませんか?
難しいフレーズに集中したとき、
間違えないように指を動かしているとき、
気づけば肩が上がり、胸が縮こまり、
呼吸が浅くなっている。
これは初心者から中級者の方に
とても多くみられる状態です。
でもそのとき、
あなたの音楽は少しずつ
硬くなっていっているかもしれません。
呼吸は、歌だけのものではない
「腹式呼吸」と聞くと、
多くの方が歌の世界のことだと思われます。
でも実は、ピアノ演奏においても
呼吸はとても大切な役割を持っています。
楽器を演奏するとき、
私たちの体は「楽器の一部」です。
指先だけで音を出しているわけではなく、
腕、肩、背中、そして呼吸までが、
音の響きに直接関わっています。
呼吸が止まるということは、
その瞬間、体の一部が固まるということです。
固まった体から出る音は、
どうしても硬く、余裕のない響きになってしまいます。
腹式呼吸が、指の力みを解いてくれる
ピアノを弾くときに力んでしまう方の多くは、
無意識のうちに胸式呼吸になっています。
胸式呼吸は浅く、
肩や首の筋肉を使う呼吸です。
この状態で演奏すると、
その緊張がそのまま腕や指へ伝わり、
音が詰まってしまいます。
一方、腹式呼吸は深く、
お腹の底(丹田)を使う呼吸です。
お腹で呼吸ができていると、
体の中心が安定し、
肩や腕の余計な力が自然と抜けていきます。
力みは「指を抜こう」として抜けるものではなく、
呼吸が整うことで結果的に抜けていくものなのです。
フレーズと呼吸は、つながっている
優れたピアニストの演奏をよく観察すると、
フレーズの始まりで自然に息を吸い、
フレーズの終わりで息を吐いていることがわかります。
これは偶然ではありません。
音楽のフレーズは、
人間の呼吸のリズムと深く結びついています。
だからこそ、呼吸が止まると
フレーズの自然な流れも止まってしまう。
歌手が歌詞の区切りで息継ぎをするように、
ピアニストもフレーズの区切りで
呼吸を整えることで、
音楽に呼吸が通います。
まずは、弾く前に一呼吸してみる
難しいことはありません。
ピアノの前に座ったら、
鍵盤に手を置く前に、
ゆっくり一呼吸してみてください。
鼻から静かに息を吸い、
お腹が膨らむのを感じる。
そして口からゆっくり息を吐き、
肩の力を抜く。
それだけで、
演奏の最初の一音が驚くほど変わります。
そして演奏中も、
フレーズの区切りで意識的に呼吸する。
息を止めて弾いていた音楽が、
息の通った、生きた音楽に変わっていきます。
体全体で音楽をする
ピアノは、指で弾く楽器ではありません。
体全体で音楽をする楽器です。
その「体全体」の中心にあるのが、呼吸です。
呼吸が整えば、体が整い、
体が整えば、音が整います。
上達の近道は、
もしかすると指の練習ではなく、
呼吸を見直すことにあるのかもしれません。
サヴァサヴァでは、
ピアノのレッスンでも呼吸を大切にしています。
力みが取れず悩んでいる方も、
音が硬いと感じている方も、
ぜひ一度スタジオへ来てみてください。
呼吸を整えることで、
あなたの音楽はきっと、
もっと自由に、もっと豊かに響きはじめます。
野口 尚宏

