なぜ私たちのリズムは重くなるの?「盆踊り」のDNAを手放して、洋楽のグルーヴを手に入れよう。

温かみのある水彩画風のイラスト。音楽スタジオで演奏を楽しむボーカリストとピアニスト。足元には農耕民族を象徴する土や農具が描かれ、重みのある「大地のダウンビート」を表現している。一方、彼らの周りから頭上にかけては、騎馬民族を象徴する光り輝く馬のシルエットが風のように駆け抜け、躍動感のある「草原のアップビート」を表現している。画像下部には「大地のダウンビート、草原のアップビート。リズムの起源。」というテキストが書かれている。

ジャズピアノや洋楽ボーカルを練習していて、
「楽譜通りなのに、なんだかお経みたいに平坦になってしまう」
「重たくてダサいノリになってしまう」と悩んだことはありませんか?

「私にはリズム感がないから…」と落ち込む大人の方が多いのですが、
安心してください。
それはあなたの才能やセンスの問題ではありません。
実は、私たちが生まれ育った環境と「DNA(文化的な身体の使い方)」が大きく関係しているのです。

日本の伝統的な音楽やお祭りを思い浮かべてみてください。
盆踊りのお囃子や、農作業の掛け声。
これらはすべて、重心を低くして地面を「ドスン、ドスン」と踏みしめる
「ダウンビート(表拍)」の文化です。
農耕民族として、大地にしっかりと足をつけて生きてきた私たちの身体には、
この重みのあるリズムが染み付いています。

一方で、ジャズやR&Bを生んだ欧米やアフリカのルーツはどうでしょうか。
馬に乗って跳ねるような動きや、
狩猟で軽やかに駆け回る動き。
彼らの音楽は、地面を蹴ってフワッと宙に浮く
「アップビート(裏拍)」に重心があります。

つまり、私たちが洋楽やジャズを演奏するときに「重たく」なってしまうのは、
無意識のうちに、すべての音に「盆踊りのドスン」という重力をかけてしまっているからなのです。

どちらのリズムが良いとか悪いとか、そういう問題ではなく、
リズムの感じ方が根本的に違うだけなのです。

では、どうすればこの重力から解放され、
洋楽特有の軽快なグルーヴ(ノリ)を手に入れられるのでしょうか。
一番簡単な方法は、リズムを「叩く」のではなく「呼吸」で捉えることです。

  • ダウンビート(1、2、3、4): 息を「フッ」と吐いて、脱力する瞬間。
  • アップビート(裏拍の「と」): 息を「スッ」と吸い込んで、胸が上に向かって膨らむ瞬間。

もし、すべての音をダウンビートで演奏しようとすると、
息を吐き続けることになり、音楽がどんどん苦しく、重たくなっていきます。
大切なのは、音と音の隙間にある「アップビート」で、
しっかりと息を吸い込み、身体を上へ引き上げる(アップする)感覚を持つことです。

鍵盤を「下に向かって叩く」のではなく、
「下から上へ引き上げる」ように弾いてみたり、
声を「前に押し出す」のではなく、「頭のてっぺんからフワッと抜く」ように歌ってみましょう。

岸和田のMusic Space サヴァサヴァでは、
ただ楽譜の音符を追うのではなく、
こうした「身体の使い方」や「呼吸の波」から音楽にアプローチしていきます。

長年染み付いた「重たいリズム」を手放すのは、
最初は少し違和感があるかもしれません。
しかし、アップビートの瞬間に身体がフワッと軽くなる感覚を一度でも味わえば、
あなたの演奏は劇的に垢抜け、見違えるようにカッコいいグルーヴを生み出し始めます。

リズム感は、才能ではなく「重心の置き方」のコツです。
スタジオで一緒に、重力から自由になる音楽の楽しさを体験してみませんか?

野口 尚宏