アンサンブルは「聴く」行為。自分で全部やろうとしないことが、美しい響きを生む鍵。

温かみのある水彩画風のイラスト。スタジオの中央で、ボーカリスト、チェリスト、ピアニストが楽しそうに演奏し、お互いを見つめ合っている。それぞれの楽器や声から異なる色の光の帯が滑らかに伸びている。空中で溶け合い、一つの温かく光り輝く和音(ハーモニー)の渦を形作っており、アンサンブルにおける信頼と調和を表現している。画像下部には「お互いに頼り、響き合う楽しみ。」というテキストが書かれている。

ピアノを習い、ボーカルを学び、
一人で一生懸命練習する大人の方は、とても熱心です。
完璧な個人の演奏を目指して、指使いやブレスを何百回も確認する。
それは素晴らしい姿勢です。

しかし、誰かと一緒に演奏する「アンサンブル(合奏)」になった途端、
その完璧主義があなたを苦しめることがあります。
「間違えたら迷惑がかかる」「私がこのパートを完璧にこなさなきゃ」と。

しかし、音楽において音を合わせることの本質は、
自分で全部やろうとすることではありません。
それはとてもシンプルで、美しい「聴く」という行為から始まります。

アンサンブルの原点は、お互いの音を聴いて、
その響きに対して自分の音を出すことです。

それは、自分勝手に話すことではなく、
相手の呼吸や感情を受け止めて、
それに「応える」温かい会話のようなものです。
ただ自分のパートを弾く(歌う)のではなく、
アンサンブル全体を俯瞰し、生きた音楽のうねりを作り出せるようになる。

この音の対話(セッション)に飛び込んでみたり、
失敗を恐れずに音の対話に飛び込んでみたり。
その経験は、ジャズという枠を超えて、
あなたの音楽ライフ全体を豊かに彩ってくれるはずです。

音楽で音を合わせることで、最も大切な要素の一つ。
それは、自分が担うべき役割と、
相手に委ねて良い役割の「バランス」を見つけることです。

例えば、あなたがボーカルとして感情を伝えることに集中しているとき、
複雑なハーモニーを支える役割はピアニストに任せても良いのです。
あなたが相手の刻む確実なリズムを「信頼」し、
その上に自分の声を乗せたとき、声はもっと自由に、もっと深く響き出します。

岸和田にあるMusic Space サヴァサヴァでは、
「完璧に弾きなさい」という指導はいたしません。
むしろ、「ここは弾かなくていいですよ」「もっと引き算してみましょう」
とお伝えすることの方が多いかもしれません。

音を詰め込むのをやめて、アンサンブル全体の風通しを良くする喜び。
不要なものを手放し、本当に必要な一音だけを丁寧に響かせる心地よさ。

肩の力を抜いて、私たちと一緒に「引き算の美学」をスタジオで味わってみませんか?
あなたの中に眠る、研ぎ澄まされた美しい音色に出会えるはずです。

野口 尚宏