記号の暗記に、息苦しさを感じていませんか?
ジャズピアノや洋楽ボーカルを学び始めると、
必ずと言っていいほど「コード(和音)」という壁にぶつかります。
「CM7」「G7(♭9)」「Fm7(♭5)」……。
楽譜に並ぶアルファベットと数字の羅列を見ると、
まるで難解な暗号や、
意味のわからない電話番号を覚えさせられているような気分になりませんか?
「この記号の時は、この鍵盤の形を押さえる」と、
手の形をただ丸暗記しようとすると、
少しでも忘れてしまった瞬間に音楽が止まってしまいます。
何より、それでは音楽を「理解」しているのではなく、
ただ「作業」をこなしているだけになってしまい、
いつか必ず楽しさを見失ってしまいます。
音と音の「人間関係」を観察してみる
丸暗記のループから抜け出すためのヒント。
それは、音楽を「語学」や「人間関係」に置き換えて考えてみることです。
外国語を学ぶとき、フレーズ集をそのまま丸暗記しても、
本当の会話はできませんよね。一つひとつの「単語の意味」と、
それらがどう結びつくかという「文法」を知って初めて、
自分の想いを自由に語れるようになります。
コードも同じです。
4つも5つも重なった複雑な和音を一度に覚えようとする前に、
まずは、たった「二つの音」に分解してみましょう。
「ド」という音と、「ミ」という音。
この二人が出会ったとき、どんな響きが生まれるでしょうか。
明るくて、ふわりと温かい気持ちになりませんか?
では、「ド」と「ミの♭(フラット)」が出会うとどうでしょう。
今度は少し切なくて、影のある響きに変わります。
2音間の「距離」が、すべての魔法の始まり
音楽のハーモニーは、音と音の「距離(音程)」から生まれます。
人と人が出会ったとき、
その二人の心の距離感や相性によって、
温かい空気が生まれたり、少し緊張感が走ったりするのと同じです。
「この音と、この音が重なると、こんな感情が生まれるんだな」という、
二つの音が織りなす関係性を一つひとつ味わい、知っていくこと。
この「2音間の距離」の感覚が身体に染み込んでくると、
複雑に見えていたコードの暗号が、
突然「意味を持った美しい人間関係の図」のように見えてきます。
「だからここは、この切ない響き(構成音)が必要だったんだ!」
と腑に落ちた瞬間、あなたの音楽への理解は、
何倍にも深く、豊かなものになります。
サヴァサヴァで、音の「本質」と出会う喜びを
岸和田にあるMusic Space サヴァサヴァでは、
「とりあえずこの形を覚えてください」というレッスンはいたしません。
時間がかかってもいいのです。
一つひとつの音が持つ意味や、
音同士が重なり合ったときのハーモニーの不思議を、
一緒に「実験」するように味わってみませんか?
丸暗記を手放し、音の本質を理解できたとき。
あなたは楽譜という縛りから解放され、
頭の中でイメージした響きを、
自由に鍵盤や声に乗せることができるようになります。
今後の演奏では、ぜひピアノの鍵盤を「二つだけ」そっと押さえて、
その響きにじっくりと耳を傾けてみてください。
そこから、あなただけの新しい音楽の扉が開くはずです。
野口 尚宏

