🎶 教えることは“もう一度学ぶ”こと
「教えることは学ぶこと」と言われます。
それは、単に知識を伝えるという意味ではなく、
自分の理解を整理し、他者に響く形に変える行為です。
人に伝えようとした瞬間、
自分が“どこまで理解しているか”が見えてきます。
それはまるで、鏡を通して自分の音を聴くようなもの。
教えるという行為は、
自分の中に眠っていた学びを再び呼び覚ます時間でもあります。
🎹 ジャズの学びは“インプットとアウトプットの循環”
ジャズのレッスンでは、
理論を学ぶ(インプット)だけではなく、
それを即興で表現する(アウトプット)ことが欠かせません。
この「出す→感じる→また学ぶ」という流れの中で、
知識は生きたものになり、音として定着していきます。
たとえば、コード進行を学んだあとに、
自分のフレーズで試してみると、
「理論」が「感覚」に変わる瞬間があります。
それが、ジャズにおける真の学びのサイクルです。
🎷 教える立場こそ、一番学んでいる
生徒さんに教えるとき、
「どうすれば伝わるか」「どうすれば感じてもらえるか」を考えます。
その過程こそ、最も深い学びの場です。
生徒さんに説明するためにもう一度考え直し、
音で示すことで新たな発見が生まれる。
それが、教育と音楽の共通点です。
ジャズのアンサンブルでも、
自分の音を他のメンバーに“伝える”ことを意識した瞬間、
全体のサウンドが変わります。
教えることは、音で会話をすることに近いのです。
🌱 “伝えること”が音を深くする
音楽を教えるということは、
「知識を渡す」ことではなく、
「感じ方を共有する」こと。
その中で、自分がかつて迷ったこと、
悩んだこと、発見したことが、
生徒さんを通してもう一度蘇ります。
教えることは、自分自身の音を磨き直すこと。
そして、それがまた新しい学びとなって戻ってくる。
この循環こそ、音楽教育の最も豊かな部分です。
学びは“循環”の中にある
ジャズのように、教えることも終わりがありません。
インプットとアウトプットを繰り返しながら、
自分の音楽も成長していきます。
教えるという行為は、知識を超えた“心の交換”です。
そしてその瞬間、
私は常に新しい音を学び直しているのです。
野口 尚宏

