楽しいだけでは続かない音楽の本質

静かなスタジオで音楽練習に向き合うミュージシャンのシルエットイラストとピアノの練習をする女性

音楽は楽しむことから始まります。
好きな曲を弾く、憧れのアーティストを真似してみる。
こうしたワクワクする気持ちは、音楽を始める原動力になります。

けれど、ある時期に多くの人が気づきます。
「楽しさだけでは、音楽が進まなくなる瞬間が来る」 ということに。

それは、決して悪いサインではありません。
むしろ“次の扉が開きはじめている”合図なのです。


音楽は、感情と技術が寄り添う芸術です。

最初のうちは、
・好きな曲が弾ける
・知っているフレーズができる
それだけで十分に心が満たされます。

しかし、続けているうちに
「音が思うように出ない」
「リズムが取れない」
「歌が苦しくなる」

といった壁が現れます。

これは誰もが通る“自然な過程”です。

ここで必要になるのが——
基礎に立ち返る時間。


基礎はあなたの音楽を解放する土台

基礎という言葉には、「厳しい」「難しい」「退屈」というイメージがつきものです。

しかし本来、基礎は
自由に音を出すための“心の準備” です。

・ゆっくりしたスケール
・呼吸の整え直し
・リズムの裏側を感じること
・身体の使い方を見直すこと

これらは、“音楽そのもの”を育てる非常に深い行為です。

呼吸を整えると視界が開けるように、
基礎が整うと 音楽の見え方も変わる のです。


多くの方を長く指導してきて感じるのは、
長続きする人は「楽しさ × 基礎」のバランスがある人。

楽しさだけでは飽きてしまう。
基礎だけでも疲れてしまう。

その間に、呼吸のようなリズムがあります。

音楽が“自分の言葉”になる瞬間

・基礎が整う
・好きな音楽が生き生きする
・新しい曲に挑戦できる
・即興性が芽生える

これらがそろうと、音楽は飽きるどころか
「深まる」 という経験に変わっていきます。


もし今、
「楽しいけど何か壁を感じる」
と思っているなら、それは成長のサインです。

焦らず、ゆっくりで構いません。
あなたのペースで音と向き合ってください。

音楽は、あなたの人生と同じように
“積み重ねるほど味わいが増すもの” です。

あなたの音が、もっと自由に響く未来を、
教室でお手伝いできたら嬉しく思います。

野口 尚宏