他者を思いやる音が、真の美しさを生む
音楽の本質は、自己表現であると同時に、
他者とのつながりでもあります。
一人で演奏するソロ演奏でも、アンサンブルでも、ライブステージでも、
そこには「届ける相手」がいます。
自分の力や技術をひけらかすのではなく、
“聴いてくれる人が心地よく感じるように”という気持ちこそが、
音楽に温度を与えるのです。
アンサンブルは、助け合いの芸術
アンサンブルは、まさに「音を合わせる」という体験です。
うまくいかない日もありますし、誰かのテンポが崩れることもある。
でも、そこで「誰かを助けよう」「支えよう」とする意識があるかどうかで、
音楽はまったく違う形になります。
“聴く耳”を持つこと、自分の音を引くこと、空間を感じること。
そのすべてが、音楽を育てる力です。
ライブ演奏は“奉仕”の時間
ライブ演奏は観客に何かを届ける時間です。
「自分が上手く弾けたか」ではなく、「誰かが少しでも幸せになったか」。
音を聴いて涙が出たり、微笑んでもらえたとしたら、
それは“自分の技術”の成果というより、“心を込めて届けた結果”です。
心地よさを届ける、その気持ちが音楽を育てる
音楽は競争ではありません。
技術や表現力も大事ですが、それだけでは届かない“やさしさ”や“温かさ”があります。
「音楽は人のためにある」——この視点を持てると、
どんな音も自然に柔らかく、聴く人の心を打つものになるのです。
野口 尚宏