教室を移転して3ヶ月が過ぎました。
今年の梅雨は短く、しかしその期間は短かかったにも関わらず、
様々な災害の爪痕を残し、去っていきました。
その後はこの猛暑です。
一体、この先地球の環境はどうなっていくのだろうかと一抹の不安を感じます。
環境がどう変わろうと、自分を信じてこの暑い夏を乗り切り、
教室にお越しくださる生徒さんに充実した音楽環境と更に音楽的成長を感じて頂くために
もっともっと勉強しなければいけないと感じている所です。
さて僕が教室を始めた20年ほど前は今ほど音楽教室やボーカル教室はなかったように思います。
ピアノを習うか、声楽を習うか、あとは本格的に音大を目指したり、留学したり。。
今は一つの音楽ビジネスとして、ボーカルスクールや様々な音楽教室が増えました。
それはとても喜ばしい事だと思います。
音楽や歌を少し習い、良い感じになったと思ったら、教室の発表会ではなく、すぐプロの方と同じステージに立つ。
そういう機会も増えました。
音楽を聴くだけだった方が身内の方をお客さんとして呼んで満席にしてステージに立てば、
ライブハウスやホールはビジネスとしてはプラスになるわけですから、
どんどんとブッキングしていきます。
ただ、その反面プロフェッショナルに音楽を追究している方にとっては少し苦しい面もあります。
音楽的成長は一朝一夕で実感できるものではありません。
コツコツと持続して、時には単調で地道な練習、様々な音楽の勉強、トレーニングも必要とします。
その過程を経て、人の心に残る音楽を表現できるのがその道のプロフェッショナルな方だと思います。
今の時勢はそのプロフェッショナルな方の考え方やライブ演奏は少し煙たがられて、
表現する場所が狭められている気がします。
寂しい話ですが。
(勿論、活躍されて忙しいプロフェッショナルな方もいますが、少なくなったという意味です。)
この状況は良い面とよく考えなければいけない面があると僕は考えます。
素敵な音楽を聴いて、自分もやりたい、そして何となく音楽的な基礎も知らず
賑やかしのような形でイベントをする。
1回や2回ならそれも楽しいでしょうが、最初は来てくれていた友だちや身内の方も
貴重な時間とお金を費やすわけですから、段々来なくなる。
で、また違う人が出てきて、同じ事を繰り返す。
そこに音楽の美しさや素晴らしさ、感動があるかと言われれば、僕は疑問を感じます。
やはり人の心に残る音楽をしようと思ったら、それ相当の練習量や基礎的訓練が必要だと考えます。
しかし、僕は自分だけが楽しい、身内だけで楽しいイベントも否定はしません。
そこに需要があり、人が集まって一時でも刹那的な楽しみがあるなら良いとも思うからです。
僕は違いますけど。
今更口に出して言うのも憚られる言葉の一つである情報化社会の中で一粒の煌めきを見つける事は容易ではないかもしれません。
情報過多でじっくり考える時間もなく、物事の価値を自分なりに決めて生きていかなきゃいけないわけですから。
楽しければ何でも良い!
この意見に僕は100%共感します。
ただし、周りにいる方々も楽しいという事が条件です。
その為には物事を様々な角度から見る事ができる目が必要だと考えます。
どんな分野でも同じかもしれませんが、自分の意思で身につけた基礎的能力はこの柔軟性を身につける事ができると思います。
僕の仕事はいかにその基礎能力を生徒さんに身につけて頂き、ご自身の価値観で素晴らしい音楽や
世の中に存在する美しいものに触れて頂く機会を持って頂く事だと思っています。
僕が自身の活動を自粛し、音楽教室で教えさせて頂く事に重きを置く理由は本当に楽しい音楽をする喜びを味わって頂くためのボーカルレッスンやピアノレッスン、その他の楽器の音楽レッスンのメニューを考えたり、
様々な方々のご要望に応じたレッスンを考え、実践させて頂く事で自分が今まで培ってきた音楽経験を生かす事が出来ると考えているためです。
自身の活動をされながら、後進の教育にも力を入れている音楽家も沢山いますが、僕は器用な人間ではないので、まずは自身の音楽教室を第一に考えてしまいます。
たまには活動もしたいのですが、それは今やるべき事、やりたい事をもう少し推し進めてからで良いです。
今後ともMusic Space サヴァサヴァをよろしくお願いいたします。
野口 尚宏