秋の夜長に、ちょっと長めですがつらつらと思いを。

今年の夏は一時とても暑かったですが、お盆を過ぎると、急に過ごしやすくなりましたね。
季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですが、夜風がほどよく心地良く
物思いに耽るには良い季節になりました。
当教室でもまた新たな転換期にきている気がします。
音楽のあり方をより深く考える時に差し掛かっています。
自分はなんのために音楽をしているのか、生徒さんとしてお越し頂く方々と
どのように接し、何をお伝えし、どのようにご要望にお応えしていくのか。。
音楽をするという事はどういうことなのか。。。

音楽をする上で大事なこと、これは勿論人それぞれであっていいと思います。
一人で1日の終わりに口ずさむ歌、一人で誰にも聴かれず弾くピアノ、
好きなアーティストの音楽をじっくり聴く至福の時など。。
それらが人生の大きな支えになっている事は確かです。

今やスマートフォンなどを含むインターネットで世界中のあらゆる人の音楽が
いつでもどこでも観られるし、聴けます。
または自分次第でいくらでも発信もできます。
この技術の進歩は素晴らしく、その利便性は言うまでもありません。
たまたまインターネットで見つけたという事が自分の人生を変える事もあるでしょう。

ただ、それと同時に一瞬で目的に到達できる、検索して探すという行為が
ある一方で個人の価値観の幅を狭めてしまっている側面もあると思います。

僕自身の経験で言うとインターネットが普及する前は楽譜や理論書、
レコードやCDを探し求めて、時間とお金と労力を使い必死になって、情報を探し求めました。
自分を高めてくれると思える人とは積極的に会いにもいきました。
今と比べると無駄な時間の浪費もあったかもしれません。
しかし、一見無駄と思えるその経過において、様々な方々と関わり、影響を受け、
自分の世界観をゆっくりと作り上げて行く事ができた、
いや自ずと出来上がって来たという方が正確かもしれません。

インターネットの普及でなくなるかと言われた本が残っているのも、
本が世に出るまで、取材や打ち合わせ、推敲や見直しなど、
多くの人々の大変な労力があって初めて書籍として成立しているからだと思います。
多くのふるい落としにかけられたパワーが凝縮されているわけです。
その辺りがインターネットの呟きとは大きく異なります。

これは私の個人的な考えですが、音楽はやはりリアルタイムでお互い音を聞き合いながら、
優しく包み込み、励まし、また時にはもたれかかり、触発しあい、共に作り上げていく
極めて愛に満ちた創造的な行為だと思っています。

全く生きて来た人生も違えば、考え方、楽しいと思う事も違う人たちが集まって
一つの音楽を作り上げていく。
そこに自分勝手な行動は思わぬ障壁となります。

そのためにも音楽の基礎的な事を学ぶ事はとても重要だと考えます。
音楽の基礎的なルールを覚える事で、相手が何を言わんとしてるかが分かるようになります。
自分の一方的な思い込みだけでわめいても、だれも聴いてくれないでしょう。
自分が歌っている、弾いている音楽をどのように一緒にやっているメンバーと
聴いてくださる方々に伝えようとし、伝わるのか。
その繋がりが出来た時に初めて発信者が同時に受信者になり、表現者になると思います。
これはただ漫然と音楽を聴く行為とは明らかに違います。
(もちろんそれがダメだとは思いませんし、何も考えず聞く事も大事ですが、、)

その繋がりが出来た時に今まで自分がコツコツと練習してきた事や
勉強してきた知識や人生経験などと一瞬でつながるという
なんとも言い難い感動に包まれると思います。
そこに自分は趣味でいいとか、プロを目指すとか、そういった事は関係なくなります。
感動する音楽とそうでない音楽があるだけです。
その感動を味わって頂くお手伝いが出来たら、当教室の存在意義もあるかと思います。

音楽は人と人をつなぎます。
この考えはずっと変わりません。
音楽は人生をより深く、楽しく、気持ちを元気にしてくれます。
そこに真の音楽の自由な広がりの世界が待っていると僕は考えます。

この秋から一歩踏み出してみませんか?

今後ともMusic Space サヴァサヴァをよろしくお願いいたします。

野口 尚宏