英語の歌は母音の滑らかさが命

英語の歌を歌う女性ボーカリストと「英語の歌は母音の滑らかさが命」というメッセージ

🎤 英語の歌が「日本人には難しい」と言われる理由

日本語と英語の大きな違いは、母音と子音のバランスにあります。
日本語は母音中心で、子音が母音とセットで発音されるのが基本です(例:「か=k+a」)。
一方英語は、子音単体が立ちやすく、母音の変化が豊富
この違いが、日本人が英語を歌うときの難しさにつながっています。

🧪 母音の滑らかさが“声の流れ”を決める

声帯振動は母音が担う部分です。
歌声の響きや音色を生み出すのは、
実は子音ではなく母音の持続と変化なのです。
したがって、英語を歌うときには子音に引っかからず、
母音がスムーズに流れることが極めて重要になります。

🌀 子音は「素早く逃がす」意識がカギ

英語の子音(特に/k/ /t/ /s/ などの無声音)は、
強く発音しすぎると音の流れが途切れてしまいます
そのため、英語の歌では子音を素早く処理し、
母音を中心に響きをつくるという意識が大切です。
これは音声学的にも、母音の持続が音声知覚に大きな影響を与えるという研究から裏付けられています。

🎯 歌詞ではなく“母音のライン”を追う練習を

たとえば “love is all around” を歌う場合、
「luh・vih・zaw・rah・nnd」のように母音の動きだけをなぞって練習すると、
英語の“音の流れ”が身体に染み込みやすくなります
これは、ジャズやR&Bなどのグルーヴ系ボーカルでは特に有効なアプローチです。

📣 音楽的な発声は“舌先”ではなく“響き”で

英語の子音をハッキリ発音しようとするあまり、
舌や唇の動きが大きくなってしまうことがあります。
しかし、実際には過剰な動きは響きの邪魔になることも。
英語の歌では、子音を軽やかに逃がしながら、
母音でしっかり共鳴を作ることが大切です。

🌍 英語の歌は「発音」より「音楽の流れ」

英語らしい歌唱に必要なのは、
正確な発音よりも、音楽としての“流れ”の再現です。
発声の物理や音声学の視点からも、母音を中心に据えた滑らかな声の流れが、
聴き手にとって心地よく伝わる英語ボーカルをつくる秘訣なのです。

野口 尚宏