🎼 独りよがりではなく「伝わる音」を奏でよう
〜音楽の本質と、今だからこそ伝えたいこと〜
美しい音とは、誰かの心に届く音
音楽は本来、「響かせる」ものではなく「伝える」ものです。
どれほど高度なテクニックや理論を駆使しても、
それが独りよがりであれば、音楽はただの自己表現にとどまってしまいます。
本当に心に残る演奏とは、相手の心を想像し、
そこに届けようとする意志を持った音です。
演奏は一方通行ではなく、聴き手との“対話”でもあるのです。
今の音楽業界に感じる“ズレ”
SNSや動画配信の時代になり、
多くの人が気軽に音楽を発信できるようになりました。
それ自体はとても素晴らしいことです。
しかし、音楽が「自分のため」だけのものになっていないでしょうか?
再生数や評価を追い求めるあまり、
「見せる音楽」「映える音楽」に偏りすぎている風潮も感じます。
そこには、かつて音楽が持っていた
“誰かに寄り添う力”や“祈りのような願い”が薄れてしまっているのではないでしょうか。
アマチュアリズムの光と影
アマチュアとして趣味で音楽を楽しむことは素晴らしい文化です。
プロに縛られず、自由に音楽を奏でる喜びがあります。
しかしその自由さゆえに、「自己満足」で終わる演奏が蔓延していることも事実です。
聴いている人の存在を忘れ、練習不足のまま舞台に立つ。
そんな“準備不足”が許容される空気が広がってしまえば、本来の音楽の価値を損ねかねません。
もう一度、「音楽の目的」を見つめ直そう
音楽は“自分のため”だけにあるのではなく、
“誰かのため”にもあるべきです。
誰かの心を揺さぶり、癒し、希望を届ける。
そんな音の力を信じて、私たちはもっと謙虚に音と向き合うべきではないでしょうか。
「うまさ」ではなく、「伝わる」音を。
それがこれからの音楽に本当に求められているものなのだと、私は思います。
野口 尚宏