音楽の本質:自分の音を選ぶ力

即興演奏において最も重要なことは、自分が「良い」と感じる音を選ぶことです。
他人の評価や流行に左右されるのではなく、自分自身の感性に従って音を選び、
それを演奏に反映させることが、真の音楽の本質だと私は考えます。

音楽を聴く動機は人それぞれです。
ある人は友人やメディアが勧める音楽を聴くでしょうし、
また別の人はアーティストのファッションやスタイルに魅了されてその音楽を選ぶかもしれません。
それらは決して間違いではなく、むしろ音楽の楽しみ方の一つとして素晴らしいものです。
しかし、最も純粋な形の音楽の楽しみ方とは、
自分自身の耳と心で感じ取った音の魅力に基づいて音を選び、それを楽しむことだと思います。

特に即興演奏においては、自分の感覚を信じて音を選ぶことが重要です。
即興演奏は、瞬間瞬間のひらめきと直感によって成り立つものであり、
その時々の自分の感性を最大限に活かすことが求められます。
他の誰かが「良い」と感じた音を模倣するのではなく、
自分自身が本当に「良い」と感じる音を選び、それを表現することが即興演奏の醍醐味です。

この「自分の音を選ぶ力」は、音楽だけでなく、人生のあらゆる場面においても重要です。
自分の感性を信じ、自分にとって「良い」と感じるものを選び、それに従って行動することが、
より充実した人生を築く鍵となります。

音楽を通じて、この「自分の音を選ぶ力」を養うことができれば、それは音楽の楽しみを超えて、
人生そのものを豊かにする力となるでしょう。
だからこそ、私たちは自分の感性を信じ、
自分が本当に「良い」と思う音を選び続けていくべきなのです。
それが、本来の音楽の形であり、真の音楽の楽しみ方だと私は信じています。

野口 尚宏