楽譜なしでも音楽はできる?
音楽と聞くと「五線譜に向かってペンを走らせる姿」や
「譜面通りに正確に弾くこと」を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、楽譜なしでも素晴らしい音楽は生まれます。
それは、頭に浮かんだ音や心に響いた感情を、そのまま音にして表現するという、
より本質的な音楽の形です。
即興演奏で大切なのは、感じること
即興演奏において重要なのは、技術よりも「耳」と「心」です。
隣で演奏する人が出した音をよく聴き、その音に自分の音をどう重ねるか。
そこには正解も間違いもなく、ただ「今この瞬間」の呼吸や気配を感じ取ることが求められます。
耳コピの力は一生もの
譜面がなくても、耳で聴いた音を再現する耳コピの力を養うことは、音楽的自立への第一歩です。
特にジャズやポップスの分野では、耳から覚えたフレーズが、その人の音楽的語彙になっていきます。
これは学校ではあまり教えてくれない、現場で生きるスキルです。
楽譜は記録と共有のために使うもの
楽譜は本来、記録として残したり、人に伝えたりするためのツールです。
演奏会や録音前のアンサンブルなど、「ここで一緒に合わせたい」「このアイデアを忘れたくない」といった場面で活躍します。
でも、最初から最後まで楽譜頼りで音楽を組み立ててしまうと、
逆に表現力や聴く力を育てにくくなってしまいます。
ジャズ教育が伝えること
当教室では、クラシック的な譜読みだけでなく、
ジャズ教育の視点から「音を聴く」「音を選ぶ」感覚を大切にしています。
まずはCの音ひとつから、自分で「どんな音を足せば気持ちいいか」を試してみる。
それこそが、譜面を超えた音楽体験への第一歩です。
野口 尚宏