ボーカルがテンポを「リード」するという意味
ジャズアンサンブルにおいて、ボーカルやメロディラインがテンポの基準になります。
ドラマーやベーシストがどれほど正確なリズムを刻んでいても、
最終的にアンサンブルの流れを決めるのは「歌」や「旋律」です。
これはロックなどとは大きく違う点。
リズムの基準をリズム隊に置くのではなく、
メロディの呼吸を中心に全体が動いていくのがジャズの特徴です。
ボーカルがもたつけば全体が遅れる
逆に言えば、ボーカル テンポが不安定だと、演奏全体が崩れやすくなります。
だからこそ、歌い手にはテンポ感 鍛えるトレーニングが必要不可欠です。
同様に、ピアノやギターのようなコンピング担当も、
メロディの“ゆらぎ”を繊細に感じ取りながらサポートする必要があります。
セッション現場での「空気の読み方」
セッションでは、テンポが書いていないことも多くあります。
そんなとき、演奏が始まる直前にボーカリストが軽く歌ってみたり、
管楽器がフレーズを試すのを合図としてリズム主導権を共有します。
演奏前の「呼吸感」、ちょっとした「グルーヴの方向性」を全員で感じ合うことで、
自然な一体感が生まれます。
リズム隊は「支配する」のでなく「支える」
リズム隊は、テンポを「押し切る」のではなく、
「感じ取る・寄り添う」ことが大切です。
これがジャズらしいセッションマナー。
一人ひとりの自由があるぶん、全員が「耳を開く」姿勢を持つこと。
それがジャズの魅力であり、難しさでもあります。
サヴァサヴァでは「共に作る演奏力」を育てます
Music Space サヴァサヴァのレッスンでは、
ボーカル・楽器問わず、即興と対話を通じて「聴く力」「感じ取る力」を重視しています。
ジャズアンサンブルにおける演奏の主導権、
そのバランス感覚を実践的に身につけていくことができます。
野口 尚宏