ピアノでコードを習得する際、音の距離と度数を理解することが重要です。
このことで、コードの習得はより効果的になります。
その一つが、特定の関係にあるコード間に存在する興味深い法則性です。
増4度関係にあるコードの秘密
コードの世界には、一見無関係に見えて実は密接に結びついているものがあります。
その代表例が、増4度(または減5度)関係にあるコードです。
例えば、C7とF♯7は増4度関係にあります。
3度と7度の一致
C7とF♯7のコードを比較すると、驚くべき事実が浮かび上がります。
これらのコードの3度と7度が同じ音になるのです。
- C7の構成音: C, E, G, B♭
- F♯7の構成音: F♯, A♯, C♯, E
ご覧の通り、C7の3度(E)はF♯7の7度と同じです。
また、C7の7度(B♭)はF♯7の3度(A♯)と同じ音になります。
この関係はトライトーン代理と呼ばれ、ジャズや現代音楽でよく使われる技法です。

この法則の応用
この法則を理解することで、コードの習得と応用が格段に容易になります。
- 記憶の効率化: 2つのコードを1つのセットとして覚えることができます。
- 即興演奏の幅拡大: 一方のコードを弾いているとき、もう一方のコードに素早く切り替えることができます。
- 和声の深い理解: なぜ特定のコード進行が効果的に機能するのかを理解する助けになります。
実践的な学習方法
この法則を活用するには、以下のような練習が効果的です:
- C7とF♯7を交互に弾き、3度と7度の音が同じであることを耳で確認する。
- 他の増4度関係にあるコードペア(例:D7とA♭7、E7とB♭7など)でも同様の練習を行う。
- 簡単なコード進行の中で、トライトーン置換を試してみる。
音と音の距離と度数を意識する大切さ
コードを習得する過程で、音の距離や度数を理解することは基本です。
少しややこしいお話かもしれませんが、コードを丸暗記するのではなく、
今回のようなC7とF♯7のような増4度関係にあるコード間の法則性を理解することで、
コードの世界はさらに広がります。
この知識は、単にコードを覚えるだけでなく、
音楽の構造を深く理解し、より創造的な演奏につながります。
音楽理論の美しさと実用性を体感しながら、
ピアノ演奏の技術を磨いていきましょう。
野口 尚宏